中日根尾昂内野手(20)のプロ初スタメンはほろ苦いものになった。今季1軍初昇格で「1番右翼」の切り込み役を指名。連勝中のチームをけん引する重責を担ったが、3打数無安打に終わった。

初回、第1打席はDeNA先発井納の速球に翻弄(ほんろう)された。初球ボールを見送ったが、連続の直球を空振り。最後148キロの内角直球に腰を引きながら見送るしかなかった。3回の第2打席は三飛。5回2死二塁の好機も遊ゴロに打ち取られた。8回の打席は、代打を送られ、プロ初安打は、次戦以降に持ち越された。

「ヒットを打ちたかったですが。次は絶対に打ちたいと思います。次、打てるように準備していきます」。すでに高卒の後輩、今年のドラフト1位石川昂、同5位岡林が初安打をクリアしているだけに悔しさがにじんだ。

それでも守備では自慢の肩をかいま見せた。4回無死一塁。ソトの飛球は右翼線へ飛び、チャージする根尾の前で高いバウンドで落ちた。二塁を狙おうとするソトを視界に捉えると、甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭時代、最速150キロの投手としても注目された強肩を披露。一塁へ素早く送球し、帰塁したソトをビシエドがタッチ。セーフ判定はリプレー検証でも覆らなかった。入団時は遊撃1本を宣言したが、1軍出場機会を増やすため昨秋キャンプから外野守備に挑戦。1軍での初守備をそつなくこなした。

試合後、与田監督は「状態はいいし、先頭打者として長打力もある。相手チームに与える印象も、打席も回るから、いろんなチャンスが回ればいいなという思いがあった」と起用の理由を明かした。ウエスタン・リーグでは22試合、打率2割8分2厘、16打点、2本塁打をマーク。7月29日のオリックス戦(ナゴヤ)で自身初の1試合2本塁打、6打点など、直近5試合は18打数9安打11打点の成績を残したことから、1軍昇格を決めた。「ずいぶんいい動きをしていますから、これからどんどん使っていきながら活躍してほしい」。指揮官はこの先の活躍に期待を寄せた。【伊東大介】

▽中日福谷(今季2度目の先発も5回途0/33失点で初黒星) 前回より調子が良かったわけではないが、丁寧に低く投げることを意識した。相手より先に降りたことが悔しいです。

▽中日浜田達(故障での育成期間を経て1588日ぶり登板で1回1安打無失点) ファームで常に1軍の舞台を意識して試合に臨んでいたので、ファームの時と同じ感覚で投げられた。少し力んでしまったかもしれません。