過密日程が続くシーズンを全員野球で乗り切るのが「2020スタイル」。巨人原辰徳監督(62)が7日、巨人では46年以来となった野手の投手起用についての思いを語った。6日の阪神戦(甲子園)で、11点差に広げられた直後の8回1死から増田大輝内野手(27)を投入。後続を抑えるも、ベンチには4人の投手が残り、球界内外にさまざまな意見が飛び交った。移動試合となった中日戦(ナゴヤドーム)は、打線が5試合連続の1ケタ安打に終わり、連敗を喫した。

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「投手増田大」の采配から一夜明け、原監督がぶれない信念の一端を示した。指揮官の耳にも賛否両論、多くの声が入ってきた。名古屋への移動前、反対意見を受け止めた上で、組織を動かす思いを語った。

「俺たちは勝つために、目的に向かうためにやってる。それが最善策。ピンチはチャンスなんだ。ピンチの時ほどチャンスはある。だからピンチをピンチで終わらせてしまうのは、ただの凡事。何かチャンスはないかなって。ただじゃ転ばないのよ」

0-11のピンチの試合で残り2死を取る最善策は何か。チーム状況、救援陣の状態、試合の流れ…局面とシーズン全体の情勢を見極めて決断した。

今季は6連戦が続く過密日程。9月には13連戦も控える。岡本以外は主力にも休養を与えながら戦ってきた。「今年はけが人もすごく多いし、野球そのものも考えないといけない」。19年からの第3次政権では坂本を2番に配し、救援陣でつなぐブルペンデーにもトライ。先発の中5日制やナイター翌日のデーゲームでシートノックを中止するなどチャレンジを重ね、今回は「投手増田大」に踏み切った。「3年間野球から離れて、もう野球に戻るつもりはなかったけど、何となく、まだやっぱり温めるものはあったんだよ」。過去の実績にとらわれず、新たな思考を現実にしている。

大敗翌日は、8回に7失点した堀岡を2軍調整のために帰京させた。「誰かのミスは誰かがカバーしないといけない」とチーム全体で戦う決意を示したが、序盤に重い失点を重ね、6点差で連敗。前日休養した勝ちパターンのリリーフ陣やスーパーサブの増田大を送り込む場面はなかった。それでも今季120試合中40試合を消化し、2位に4ゲーム差で首位を走る。「あと3分の2があるというところでしょう。明日はまたすぐに来ちゃうから」。すぐ次の勝負に目を向けた。【前田祐輔】