超・変則シーズンの3分の1を経過し「救援防御率」に傾向が出てきた。

多くのチームが昨季より数字を落とし、順位との相関関係がじわりと出てきた。ロッテは益田直也投手(30)が史上33人目の通算100セーブを達成し貯金1。日本ハムはブルペンの奮闘で勝率を5割に戻した。酷暑の連戦、救援が浮沈のカギを握っている。

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守護神は最後のとりでだ。ロッテ益田も骨の髄まで理解する。「みんなの思いが詰まっている。同じ1回でも重みが違う。無責任なボールは投げられない」。強い自負で99セーブを積み重ねた。100セーブへのマウンドは、5点差の9回無死満塁。想定外の場面でも、やることは1つ。 2点を失ってなお2死満塁。最後は4番ジョーンズを追い込んだ。「低めにさえ投げられれば長打はない。大丈夫」。得意のシンカーではなく直球を選んだ。

球筋にはこだわりがある。「ぼく、直球の握りがシュートの握りなんです」。独特のフォームから投じる球はなぜか、遠投でさえシュート回転しない。豊かな球威で二ゴロに打ち取ると、帽子を頭に軽く乗せ直し、息を吹き出した。 いくら修羅場をくぐっても、緊張はする。円陣の中央でキャンプ打ち上げの手締めをする時は、朝からドキドキした。開幕戦前のファンへの言葉も、何度も練習を重ねた。「マウンドには持ち込めない。地に足がつかないような緊張はできない。対打者にどう投げるかだけを考える。そっちまで緊張が回らないです」。

そうして重ねた「100セーブ&100ホールド」は、史上5人目となるリリーフに生きる男の勲章だ。 浅くかぶり直した帽子のひさし裏に、家族のイニシャルがのぞく。夫人からは「できればホーム(ZOZOマリン)までセーブしないで帰ってきて」と冗談交じりで頼まれたが、今の混パでは1勝が何より大事だ。「誰がどこでこけるか、どこが勝つか分からない。自分たちにもチャンスはある」。今季チームの21勝中10勝が1点差勝利。守護神にして選手会長。益田が思いを束ねる。【金子真仁】