オリックスが「中嶋イズム」で接戦を制した。前日20日の西村監督辞任にともない、2軍監督から昇格した中嶋聡監督代行(51)が初陣を迎えた。もっとも独自色が表れたのは先発オーダーだ。4番には試合前まで打率1割1分8厘、1本塁打の中川を起用。昨季4試合先発した打順だが、今季の不振ぶりを考えれば、大胆な用兵だ。1点を追う6回2死一、二塁の同点機で打席が巡ったが、チェンジアップに芯を外され、中飛に倒れた。

この日は3打数無安打1四球。2年目は苦しいシーズンを過ごすが、この日の大抜てきは中嶋監督代行が示す強烈なメッセージだ。「期待しかないですよ。僕は無敵な中川を見てきていたんで。今の打率とかは全く関係ない。新しい中川を出してくれたらなと」と語気を強めた。今季は開幕スタメンを果たしたが、7月に入って2度の2軍降格。調子は上がらず苦しんできたが、中嶋監督代行は2軍監督として中川のプレーに接してきた。8月はウエスタン・リーグ10試合で打率4割4分4厘、3本塁打と上り調子。18日に1軍再昇格を果たしたばかりだ。

ルーキーだった昨季は交流戦首位打者に輝き、シーズン105安打をマーク。2年目、そして将来の主力としての飛躍を期待されている。この日、同点の8回1死一、三塁では四球を選び、ジョーンズの決勝打につないだ。残り66試合。意地のみせどころはまだ残されている。指揮官は前夜も「やれることはまだまだあります。このままで終わるチームではありません」とコメントしていた。チームの連敗も4で止まった。不振だった若手を信じて大役を託す。粋なタクトに攻めの姿勢がにじんだ。