阪神藤浪晋太郎投手(26)は交代を告げられると、グッと歯を食いしばった。

そのまま地面を見つめ続ける。その表情がすべてを物語っていた。4回2/3で102球を要して6安打5四死球4失点。「序盤に大量得点を取ってもらった中で、本来はもっと長いイニングを投げなければいけない展開でした」。チームの勝利に救われたものの、投球内容に課題を残した。

4点リードの5回裏、制球が乱れた。先頭の9番大盛をフルカウントから歩かせ、リズムが崩れる。無死二、三塁から投ゴロの間に1失点。3番堂林にはスライダー、直球ともに大きく引っかけた後、ストレートの四球を許した。ここから直球を狙われ、不運な当たりも重なって2者連続適時打を献上。最後は7番会沢へのスライダーがすっぽ抜け、左肩付近に当ててマウンドを降りた。

1失点後の4回裏1死満塁では7番会沢を外角154キロ直球で空振り三振、8番田中広は外角155キロで見逃し三振に仕留めた。1度は大ピンチを脱していただけに、余計に悔しさが募る。際どい球を度々ボールと判定されて窮屈になったとはいえ、5点リードから1点差まで迫られての降板。「5回は先頭に四球を出したところからつけ込まれてしまい、悔しい投球になりました」と反省した。

前回21日ヤクルト戦で692日ぶりの復活星をゲット。自身2連勝で勢いに乗りたかったが、今季最短降板を余儀なくされた。矢野監督は「まだまだ成長していかないとダメなピッチャーなんでね」と次回の変わり身に期待。完全復活へ、立ち止まっている暇はない。【佐井陽介】