逆転のマリーンズだ!2位ロッテが首位ソフトバンクとの直接対決1戦目を4-3の逆転勝利で制し、ゲーム差を「2・5」に縮めた。初対戦だったソフトバンク・ムーアら投手陣を打線全体で中盤までにしぶとく攻め、7回に中村奨吾内野手(28)の2点適時打で勝ち越した。エース石川歩投手(32)も一気に6連勝。秋になっても熱パを盛り上げる。

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しぶとく、しつこく、したたかに。じわじわと置いた布石が、ラッキーセブンで効いた。主役は5番中村奨。ここ9試合で打率1割未満も、振れていた。振っていた。第1打席で初対決ムーアに3球ファウル。「どんな球質かも分からなかったので」。この積極性が7回1死満塁の見せ場で結実した。追い込まれてから泉のフォークに反応。勝ち越し適時打となった。

2日前、西武内海に743日ぶり白星を献上したばかり。6日前にはオリックス張奕に7回まで2安打。ロッテには初物や久しぶりの相手に手が出ず、淡々と封じられる悪癖があった。井口監督は言う。「どうしても見よう、見ようという選手が多い」。

だから、しつこく言い続けた。「1巡目はしっかり振っていこう。何とか振っていこう。すぐ捉えられなくても、2巡目に何とかなるよ」。選手は実践した。対ムーアは6回途中降板まで99球投げさせた。そのうち約6割の58球がファウルかボール球か安打。スコアには表れなくても、不気味に攻め続けた。

7回に逆転し、難敵モイネロも出させなかった。剛球左腕には今季ここまでチームで15打数12三振。「後半(の投手)はどのチームもいいので。何とか6回までリードする展開を作りたい」と指揮官は望む。相手も2位ロッテをしっかり研究する。「うまくいかない時もある」と言うが、引きずらない。中村奨も「難しい球は打てないと割り切ったのが良かったと思います」と殊勲打を振り返った。

決勝点を取るための切り札、俊足和田がいる。唐川-ハーマン-益田の継投も頼もしい。故障者も多いが、次々と代役が活躍する土壌もある。「選手の層が少しずつ厚くなってきました」。指揮官にはそんな手ごたえもある。

今季36勝のうち、20勝が逆転勝利。21勝が2点差以内の勝利。ロッテの勝ち方だ。今回の3連戦では追いつけないが、ソフトバンクとは残り14試合もある。井口監督も中村奨も「また明日、切り替えて」と引き締めた。パ・リーグの灯は消さない。試合だけではなく、シーズンも逆転Vで決める。【金子真仁】