阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)がライブ評論で注目プレーを解説。

巨人は3回に近本の本塁への悪送球で1点を先制。 4回に大城の犠飛で1点、5回にも岡本の適時打でリードを広げた。

阪神は7回に1点、9回に糸原のソロで1点を返すが反撃もそこまで。阪神は3位転落。首位巨人とのゲーム差は8・5に開いた。


スコア詳細


真弓明信氏(2019年3月26日撮影)
真弓明信氏(2019年3月26日撮影)


チーム
巨 人
阪 神

【巨】○メルセデス、高梨、大竹、大江、中川、デラロサ

【神】●高橋、ガンケル、岩貞、岩崎

【本】糸原3号ソロ(9回デラロサ105m)


試合後

【真弓明信氏の評論】

--阪神は痛い連敗となった

CSのあるシーズンは、よほどの差がつかなければ、6位のチームでも3位に食い込むチャンスがあった。今年はCSがない。下位のチームはそのうち、来季のことを考え始める。これだけ首位と差が開けば、自チームの勝利だけで差を縮めるのは難しい。しかし消化試合も増えてくるので、いわゆる「巨人包囲網」というものは期待できない。残り2、30試合でペナントレースの行方は決まってくるだろう。それを考えれば、1つの勝ち負けが与える影響は大きい。この敗戦は痛い、というしかない。

阪神対巨人 阪神を下し、3勝目ポーズで笑顔を見せるメルセデス(撮影・河野匠)
阪神対巨人 阪神を下し、3勝目ポーズで笑顔を見せるメルセデス(撮影・河野匠)
阪神対巨人 阪神に勝利しナインをエアタッチで迎える原監督、左はメルセデス(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 阪神に勝利しナインをエアタッチで迎える原監督、左はメルセデス(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 9回裏阪神1死一塁、大山は二ゴロ併殺打を放ち試合終了、天を仰ぐ(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 9回裏阪神1死一塁、大山は二ゴロ併殺打を放ち試合終了、天を仰ぐ(撮影・加藤哉)

試合経過

<1回>

巨人 坂本二ゴ、松原見三振、ウィーラー遊ゴ

阪神 近本三ゴ、糸原は変化球で空三振、陽川二ゴ

阪神対巨人 阪神先発の高橋(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 阪神先発の高橋(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 巨人先発のメルセデス(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 巨人先発のメルセデス(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 1回裏阪神1死、糸原は三振に倒れる、左はメルセデス(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 1回裏阪神1死、糸原は三振に倒れる、左はメルセデス(撮影・加藤哉)

<2回>

巨人 岡本三ゴ、丸中安、中島二併

阪神 サンズ左安、大山遊ゴで二塁封殺、ボーア初球にメルセデスボークで二進。ボーア見三振、梅野空三振

【真弓明信氏の評論】

--高橋は安定した投球を見せている。彼の良さは

高めのストレートだろう。角度のある投手ではない。打者には、その分、低いところから、浮き上がっているように見える。それでも、2回に岡本が痛烈な三塁ゴロを打った。アウトになったが、やはり投手は嫌なものだ。こういう打球が阪神にもほしい。


<3回>

巨人 大城左安、吉川尚右安、メルセデス投ギ、坂本四球、阪神福原コーチがマウンドへ。松原浅い中飛、三塁走者止まるも、近本本塁に悪送球で巨人先制! 神0-1巨 ウィーラー遊ゴ

阪神 木浪二ゴ、高橋空三振、近本遊直

【真弓明信氏の評論】

--3回は巨人が連打でチャンスを作った

吉川尚が一、二塁間を破ったが、一塁走者の大城は絶対に三塁までいかなければならなかった。打球の勢いもそうだし、ライトの守備は不慣れな陽川。メルセデスのうまいバントに助けられた。2番松原は2ボールから直球を狙っていた。結果的に浅いフライだったが、しっかりと振り切っていた。狙い球を絞って振り切ることがタイガースの打者はなかなかできない。 近本の本塁悪送球は、解せない。走者が走ろうが走るまいが、ワンバウンドで返せばいい場面だ。

阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、中堅手近本(右)は松原の打球を捕球し送球が逸れ先制点を与える(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、中堅手近本(右)は松原の打球を捕球し送球が逸れ先制点を与える(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、近本は松原の飛球を捕球し本塁へ送球するがネットに直接当たってしまうほどの暴投で失点、右はカバーにはいる高橋(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、近本は松原の飛球を捕球し本塁へ送球するがネットに直接当たってしまうほどの暴投で失点、右はカバーにはいる高橋(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、近本は松原の飛球を捕球し本塁へ送球するがネットに直接当たってしまうほどの暴投で失点、右はカバーにはいる高橋(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 3回表巨人1死満塁、近本は松原の飛球を捕球し本塁へ送球するがネットに直接当たってしまうほどの暴投で失点、右はカバーにはいる高橋(撮影・加藤哉)

<4回>

巨人 岡本遊失、木浪がゴロそらす。丸中飛、中島中2、大城中犠で追加点! 神0-2巨 吉川尚申告敬遠、メルセデス空三振

阪神 糸原遊飛、陽川見三振、サンズ投ゴ

【真弓明信氏の評論】

--4回に大城の浅い中飛で三塁走者の岡本が本塁に生還した

近本は肩でも痛いのか。走られるようなフライではない。それにしても、岡本のスタートは早かったように見えた。オレは現役時代、勝負の場面はフライング気味にスタートを切っていた。知らん顔していたが、内心はドキドキでね。1度だけアウトになったことがあるよ。4回で2点差になったが、力の差ではない。内容的には高橋のほうが勝っている。

阪神対巨人 4回表巨人1死二、三塁、大城の中飛で三走岡本(右)が生還する、捕手は梅野(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 4回表巨人1死二、三塁、大城の中飛で三走岡本(右)が生還する、捕手は梅野(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 4回表巨人無死、木浪は岡本の打球をエラーする(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 4回表巨人無死、木浪は岡本の打球をエラーする(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 4回表巨人1死二、三塁、大城の中犠飛で追加点を許しうつむく高橋(撮影・河野匠)
阪神対巨人 4回表巨人1死二、三塁、大城の中犠飛で追加点を許しうつむく高橋(撮影・河野匠)

<5回>

巨人 坂本遊安、松原捕邪、ウィーラー中安、岡本左2で追加点! 神0-3巨 丸四球、中島投併

阪神 大山投ゴ、ボーア三安、梅野三併

【真弓明信氏の評論】

--5回に巨人は岡本のタイムリーでさらに1点を追加

最初の打席で岡本は直球をとらえ、三塁に痛烈な打球を放った。これが効いている。バッテリーは直球を選択しづらい。2球続けて、変化球を投げたが、岡本は「直球は来ない」と読んでいたのだろう。その前に2番松原に送りバントの指示を与えるべきだと私は思った。1点取れば、阪神ベンチは状況次第で高橋の打席で代打を送らざるを得なくなるからだ。

--阪神打線は5回まで2安打無得点

東京ドームで3戦連続無得点ということがあったが、どれだけ打てなくても打席の立つ位置を変えたり、狙い球の絞り方など工夫をすれば、1点は取れる。例えばボーアは打席で両足の位置が捕手寄りだが、メルセデスのような左投手の内角球は見づらくなる。2回の見逃し三振はストライク判定に意外な表情を見せていただろう。あの内角球の軌道に対し、右足だけでも開き気味にして、構えれば、見やすくなるはずだ。いいフォームで打つことだけが、大事ではない。

阪神対巨人 5回表巨人1死一、二塁、適時打を放つ岡本(撮影・河野匠)
阪神対巨人 5回表巨人1死一、二塁、適時打を放つ岡本(撮影・河野匠)
阪神対巨人 5回表巨人1死一、三塁、原監督は岡本の左越え適時二塁打に笑顔を見せる(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 5回表巨人1死一、三塁、原監督は岡本の左越え適時二塁打に笑顔を見せる(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 5回表巨人1死満塁、高橋は中島の打球を体に当てるが投ゴロ併殺に仕留める(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 5回表巨人1死満塁、高橋は中島の打球を体に当てるが投ゴロ併殺に仕留める(撮影・上山淳一)

<6回>

巨人 大城左安、吉川尚左安、メルセデスのバントは三塁封殺で投ゴ。坂本投ゴで二塁封殺、松原空三振

阪神 木浪遊邪、坂本がフェンス際で捕球。高橋の代打中谷中飛、近本二ゴ

【真弓明信氏の評論】

--メルセデスは6回を2安打無失点で降板

阪神打線は6回で73球しか投げさせていない。6回も8番木浪からあっさりと3者凡退。昔話だが、現役時代、球宴前に岡山で広島戦があった。戦っていると、広島のベテラン連中が早く試合を終わらせたくて仕方がないように見えた。オレは「粘って、長い試合にしてやろう」と思ったよ(笑い)。結果、試合には勝ったんだけどね。でも、戦いとはそういうもの。相手の心理を読みながら、嫌がることをやる。まあ、オレも早く帰りたかったから、心理が分かったんだけど…。巨人は高橋と今季3度目の対戦。狙い球がハッキリしていたな。最初は凡打だったかもしれないが、直球をとらえた。

阪神対巨人 6回裏阪神無死、坂本勇は木浪の邪飛を追ってフェンス前で捕球する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 6回裏阪神無死、坂本勇は木浪の邪飛を追ってフェンス前で捕球する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 6回裏阪神無死、木浪の邪飛をグラブに当てながらなんとか捕球する遊撃手の坂本(撮影・河野匠)
阪神対巨人 6回裏阪神無死、木浪の邪飛をグラブに当てながらなんとか捕球する遊撃手の坂本(撮影・河野匠)
阪神対巨人 6回裏阪神無死、木浪の邪飛をグラブに当てながらなんとか捕球する遊撃手の坂本(撮影・河野匠)
阪神対巨人 6回裏阪神無死、木浪の邪飛をグラブに当てながらなんとか捕球する遊撃手の坂本(撮影・河野匠)

<7回>

巨人(阪神2番手はガンケル、中谷が中堅、近本下がる)ウィーラー四球で代走増田大。岡本右飛、丸中飛、中島空三振

阪神(巨人2番手は高梨)糸原が右安、高梨暴投で二進、陽川空三振。(巨人3番手は大竹、北村が一塁、中島下がる)サンズ左安、大山右飛、ボーア3球目の大ファウルを見て原監督が4番手大江に投手交代。ボーア三安、岡本のグラブをはじく三遊間の打球で阪神が得点! 神1-3巨 梅野空三振

阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、ボーアは右翼アルプススタンドへファウルを放ち、直後に大竹は大江と交代で降板する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、ボーアは右翼アルプススタンドへファウルを放ち、直後に大竹は大江と交代で降板する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、原監督はボーアに右翼アルプススタンドへファウルを打たれた直後、投手交代を告げる(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、原監督はボーアに右翼アルプススタンドへファウルを打たれた直後、投手交代を告げる(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、ボーアは三塁適時内野安打を放ちガッツポーズ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、ボーアは三塁適時内野安打を放ちガッツポーズ(撮影・上山淳一)

<8回>

巨人(阪神3番手は岩貞)大城右安、吉川尚投安、北村一ギ、坂本敬遠、亀井二ゴ、糸原が本塁封殺、増田大空三振

阪神(巨人5番手は中川)木浪遊ゴ、中谷空三振、俊介二飛

阪神対巨人 8回表巨人1死満塁、糸原は代打亀井の打球を捕球し本塁へ送球する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 8回表巨人1死満塁、糸原は代打亀井の打球を捕球し本塁へ送球する(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 8回表巨人1死満塁、梅野は代打亀井の打球を好捕した糸原からの返球で吉川大の生還を阻む(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 8回表巨人1死満塁、梅野は代打亀井の打球を好捕した糸原からの返球で吉川大の生還を阻む(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 8回表巨人2死満塁、岩貞は増田から三振を奪い雄たけびをあげる(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 8回表巨人2死満塁、岩貞は増田から三振を奪い雄たけびをあげる(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 8回に巨人4番手で登板した中川(撮影・河野匠)
阪神対巨人 8回に巨人4番手で登板した中川(撮影・河野匠)

<9回>

巨人(阪神4番手は岩崎)岡本見三振、丸遊ゴ、炭谷三ゴ

阪神(巨人はデラロサがマウンド)糸原のソロで1点差! 神2-3巨 代打福留四球、代走植田、サンズ空三振、大山二併で試合終了。

阪神対巨人 9回裏阪神無死、糸原は左越え本塁打を放つ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 9回裏阪神無死、糸原は左越え本塁打を放つ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 9回裏阪神無死、糸原(右)は左越え本塁打を放ち歓喜のハイタッチ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 9回裏阪神無死、糸原(右)は左越え本塁打を放ち歓喜のハイタッチ(撮影・上山淳一)

スタメン

【巨人】

1(遊)坂本

2(右)松原

3(左)ウィーラー

4(三)岡本

5(中)丸

6(一)中島

7(捕)大城

8(二)吉川尚

9(投)メルセデス


【阪神】

1(中)近本

2(二)糸原

3(右)陽川

4(左)サンズ

5(三)大山

6(一)ボーア

7(捕)梅野

8(遊)木浪

9(投)高橋


試合前

【真弓明信氏の評論】

--阪神は糸原が2番二塁でスタメンに入ったところを見どころとしました

今のタイガースで、150キロ近いストレートに対応できる選手は限られている。その1人が糸原だ。直球を得意にしている投手は、バチンと芯でとらえられると、「今日は球が走っていないのかな」と思ってしまい、力んでしまう。そこからリズムが狂う。誰か1人がいいヒットを打てば、相手投手が崩れるきっかけになるものだ。85年のタイガースは、オレが真っすぐに強かった。バースは速い球を打てなかったが、半速球は必ずしとめていた。オカ(岡田)は変化球を打つのがうまかったし、カケ(掛布)は両方打てていた。 この試合では糸原が突破口になることを期待したい。

--台風シーズンの甲子園で守備に就く注意点は

常に球場の旗は見ておかないといけない。試合開始の時と風向きが変わる場合がある。この時期は、バッターボックスからバックスクリーンのほうに吹くことが多くなる時もある。

--試合前には雨も降った

外野の芝生は注意が必要だ。ゴロの時は時に。芝がぬれていると、ライナー性の打球はスピンがかかる。

阪神対巨人 水の浮いたグラウンドに杭を打って排水させる阪神園芸の係員たち(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 水の浮いたグラウンドに杭を打って排水させる阪神園芸の係員たち(撮影・加藤哉)