亜大のドラフト上位候補、平内(へいない)龍太投手(4年=神戸国際大付)が、7球団19人のスカウトの前で5回を3安打2失点。3月25日に右肘クリーニング手術を受けてからの復活をアピールをした。

序盤はスプリットで打者の目線を外しながら、150キロの真っすぐで空振りに。2巡目からは縦のスライダーにツーシームで打者を翻弄(ほんろう)。4回には2点本塁打を浴びるも、この回を除く4イニングで7三振を奪い、自己最速を1キロ更新する154キロも記録した。「今日は試合を作ることを意識しました。思い通りの投球ができました」と手応えをつかんだ。

伯父の永井智浩ソフトバンク編成育成本部長兼スカウト育成部長(45)のプロ現役時代を見て育った。幼稚園のころは、地元神戸で試合があると、家族で応援に出掛けた。「伯父さんはかっこよくて、僕の自慢でした」。小1で野球を始めると、お正月にキャッチボールの相手をしてもらうのを楽しみに、伯父の武器であるフォークを見よう見まねで練習した。高校時代は「エースになったらグローブを買ってやるぞ」という言葉を支えに、苦しい練習にも歯を食いしばった。3年春にかなえ「伯父さんのようなプロ野球選手になる」と思いを込め「夢」と刺しゅう。「使い込んでボロボロになったけど、今でも宝物です」と、今は寮の部屋に飾ってある。

スタンドでは永井編成育成本部長兼スカウト育成部長も観戦。「僕の中では小さい頃で止まっているので、不思議な感じです。プロのスカウトに見てもらえるような選手になるなんて。成長したなと感じますね」と温かく見守った。

追い掛け続けた伯父の背中。平内は「久しぶりにいい投球を見せられました。秋のリーグ戦は先発投手として結果を残したい」。同じ舞台に立つ夢をかなえるために。勝負の秋がくる。【保坂淑子】