新打線で快勝バイ! 阪神の梅野隆太郎捕手(29)がプロ初の2番で先発し、1回につなぎの左前打で先制に貢献し、8回は4号ソロでダメ押しだ。矢野監督は02年の自身以来となる「2番捕手」など攻撃力を高めようと打線改造を断行。梅野は西勇を完封にも導き、起用に応えた。阪神は連勝で、勝った首位巨人と9・5差のまま。それでも反攻の手を緩めはしない。

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梅野は1回表の守備を終えると、いつもより駆け足気味にベンチへ戻った。裏の攻撃。防具をレガースに付け替えて1番近本の内野安打を次打者席で見守り、汗を拭いながらプロ7年目、人生でも初となるスタメン2番の打席に向かった。「打席に立っていて目の前に近本がいたのでちょっと変な感じがしたけど、いい緊張感の中でうまく役割を果たせたかなと思います」。送りバントのしぐさも見せつつ左前打でつなぎ、サンズの先制打を呼び込んだ。

矢野監督の奇策に応えた。前日10日DeNA戦(横浜)後、打順を直接伝えられた。阪神の「2番捕手」は02年の現役だった指揮官、以来18年ぶり。「1を大事とよく言いますが、2番としての1打席目。いろんな意味で、この打席で決まるなと昨日ぐらいから思っていた」。昨季14打数8安打と得意にした床田から、重視していた初打席から結果を出し、流れに乗った。8回には、矢崎の151キロ直球を逆方向の右中間席に運ぶ4号ソロ。つなぎから一転、今度は34試合ぶりの1発でダメを押した。

矢野監督は、他にもここ4試合2番だった糸原を今季初、プロ2度目の3番に入れるなど打線のテコ入れを敢行。梅野の2番は以前から選択肢にあったと明かした。「打席の中でもいろんなことができますし、ランナーに出ても次の塁を狙うことができる。バリエーションの多い選手なので、キャッチャーじゃなければ2番というのもあり得る」。自身の経験上、「2番捕手」は攻守で負担が強まると理解した上で、首位巨人を追いかける勝負手として繰り出し、その期待に梅野が一発回答してみせた。

マスクをかぶってはエース西勇を甲子園初完封に導いた。自身の本塁打よりも「ゼロで抑えられたことが一番良かったと思います」と好投をたたえた。今季初めて上がった甲子園のお立ち台では、自身の代名詞である「明日も勝つばい!」パフォーマンスをバッテリーで披露。スタンドのファンにも「このご時世なので、声は控えめに」と呼びかけ、一緒に喜びを分かち合った。負けられない戦いは続く。ウルトラCをやってのけた梅野が、攻守でチームを引っ張っていく。【奥田隼人】