広島床田寛樹投手(25)が6回3失点の粘投で3勝目を挙げ、チームを1日で最下位脱出へ導いた。2本塁打を浴びながらも、回を追うごとにギアを上げ、自身5連敗から2連勝を果たした。打線も7試合ぶりの2桁安打となる14安打7得点で援護。チーム一丸で勝利をもぎ取った。

   ◇   ◇   ◇

床田が目の色を変え、天敵に真っ向勝負を挑んだ。2点リードの5回、2死一塁で山田哲を打席に迎えた。2ボールから変化球でストライクを取ってからの4球目は、今季最速の高め150キロ直球で空振り。最後も150キロ直球で空振り三振で切り抜けた。前回対戦で1発を浴びるなど、今季苦戦していた相手をトップギアでねじ伏せた。左腕は「点を取ってもらった後に取られたので、同じ失敗をしたくなかった」。気迫の投球でリベンジを果たした。

尻上がりに調子を上げていった。初回に味方が2点を先取した直後、青木に同点2ランを被弾。4回にも1発を浴びたが、動じることはなかった。5、6回を完璧に封じ、チームに流れを呼び込んだ。左腕の粘投に呼応するように、打線も7試合ぶりの2桁安打でもり立てた。床田は「今日は野手の方のおかげです」と感謝した。

苦しい時でも、家に帰れば自分を取り戻すことができた。昨年12月に、中部学院大時代の同級生だった岐阜県出身の一般女性と結婚。今季はなかなか勝ち星に恵まれず、苦しいシーズンとなっていたが「奧さんは勝っても負けても変わらなかった。家に帰ってもいつも通り接してくれていたので、そこがすごいよかった」。栄養士の資格を持つ夫人の心強いサポートにも支えられ、逆境を乗り越えた。

佐々岡監督が「入りの悪さは相変わらず。打線に勝たせてもらって連勝できた。これから修正していってもらいたい」と苦言を呈したように、まだまだ返す借りはある。これで今季は3勝6敗。床田は「自分が足を引っ張ってきた分、なんとか取り返したい。必死にやりたい」。貴重な先発左腕が復活の兆しをみせている。【古財稜明】