阪神藤浪晋太郎投手(26)が残り24試合も中継ぎ起用されることが12日、濃厚になった。金村暁投手コーチ(44)が明かしたもの。チーム内の新型コロナウイルス感染拡大により、9月25日の緊急昇格後、中継ぎで8試合に登板。自己最速タイの160キロを連発するなど剛腕ぶりを発揮し、4ホールドを挙げている。矢野燿大監督(51)は「先発に戻った時、この経験が生きる場所になる」と復活をサポートする。

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短いイニングに全力を注ぐ。今季は「リリーフ藤浪」として、最後まで腕を振ることになりそうだ。12日、甲子園での投手指名練習に参加した金村投手コーチが、藤浪の今後の起用法について言及した。「今現在は中継ぎとして、あまり間隔を空けないで登板できている中で、いい状態を保ってくれているので、現状は中継ぎとしてやってもらおうと考えています」。

離脱していた岩貞、岩崎も13日から1軍に再合流。中継ぎ再編となっても、藤浪はリリーフの一員として待機する。金村投手コーチは「とりあえず日程的にも6連戦が続く形になりますし、(先発)ローテのメンバーはそろっているので」とも説明。今季は残り24試合で、現在は西勇、高橋ら先発投手6人がそろう状態。藤浪の中継ぎ継続に両左腕も加わり、ブルペンが厚みを増す形になる。

今季の藤浪は、先発として8試合に登板するも1勝止まり。9月中旬から2軍再調整となっていたが、事態は一変した。9月25日にチーム内の新型コロナウイルス感染が発覚し、大量19人が一斉入れ替え。藤浪もその1人として昇格し、翌26日ヤクルト戦で約7年ぶりのリリーフ登板を果たした。中継ぎではここまで8試合に登板し4ホールド。自己最速タイの160キロも2試合でたたき出し、直近3試合では無安打無失点と好調だ。

プロ初ホールドを挙げた29日中日戦。藤浪は「死ぬほど緊張しました。先発の時とは違って人の勝ちがかかった場面で投げることが、こんなに緊張するとは思っていませんでした」とコメントした。見える景色が変われば、新たな発見もある。矢野監督も「先発に戻った時には、この経験が生きる場所になると思う。スタミナもあるし、チームにとっても、晋太郎にとってもいいのかなというところで選択している」と話し、今後の糧となることを願った。勝利のリレーをつなぐ一瞬が、完全復活の新たな1歩になる。【磯綾乃】