TDK(秋田・にかほ市)が延長12回、2-0でJR東日本東北(仙台市)に競り勝ち、8年ぶり4度目の第1代表で7年ぶり15度目の本大会出場を決めた。延長12回表1死一、三塁、3番青木龍成外野手(24=東日本国際大)の左越え2点三塁打で均衡を破った。最速153キロのプロ注目右腕・小木田敦也(22=角館)も1人でマウンドを守り、7安打6奪三振完封で勝利に導いた。

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エース小木田が3時間33分のしびれる投手戦を制した。2点を勝ち越した直後の延長12回裏、頼れるエースが3人で締めくくった。最後を149キロ直球で空振り三振に仕留めると、マウンドで片膝をつき、雄たけびをあげながらガッツポーズ。仲間たちと歓喜を分かち合った。計160球の力投。就任3年目の佐藤康典監督(50)は「継投はまったく考えていなかった。小木田と心中するつもりだった。勝因は『0』で抑えたこと」とたたえた。

序盤は速球を見せ球に、2回2死満塁ではこの日最速150キロで右飛に仕留めた。中盤以降は速球だけに頼らず、緩急と変化球を織り交ぜた投球術を披露。延長突入後はサヨナラの重圧をはねのけた。今大会は3試合22回1/3を2失点、2勝1セーブと大活躍。最高殊勲選手賞に輝き、「やっと終わったという感じ。最後まで気持ちを切らさずにできた」と自らに合格点を与えた。元エース阿部正大コーチ(38)の指導で精神的にたくましくなった。以前は力任せだったが「打ってもらった方が体への負担も少なく、長く投げられる」と駆け引きを学んだ。

攻撃ではこの日、5打数無安打だった青木が最後に輝いた。相手左翼手のグラブをはじく値千金の2点三塁打を放ち、「1回戦から調子が悪くて悔しかったので勝ててうれしい」と笑顔を見せた。06年は東北勢で唯一の都市対抗V。佐藤監督は「勝るとも劣らないチーム力はある。1戦必勝で上位を目指したい」と意欲。再び、T(東京)D(ドーム)K(キング)の栄光を目指す。【佐々木雄高】