ソフトバンクの伏兵たちが、球界屈指の右腕から勝利をもぎとった。3回1死、オリックスの先発山本から9番の川瀬晃内野手(23)が左前打を放って出塁。続く1番の周東佑京内野手(24)が、右中間を破る適時三塁打で決勝点をたたき出した。連続無失点を続けていた山本は、32イニングぶりに失点。リーグ防御率1位の剛腕に勝ち、チームは3連勝を飾った。

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伏兵の一打から、試合が動いた。両チーム無得点の3回1死。川瀬がオリックス山本から左前打を放って出塁した。「上位打線になんとかつなげようと思って、打ちにいきました」。2回には2死二塁の得点機で松田宣が倒れ、先制に失敗していた。若鷹が、必死の思いで突破口を開いた。

続く周東も、がむしゃらだった。山本の、この日唯一と言える失投に食らいついた。1死一塁で、高めに浮いたツーシームを強振。右中間を破る適時打で、一気に三塁まで走った。「川瀬がすごくいいバッティングをしてくれた。笠谷も頑張って投げていたし、なんとか先に点を取ってやろうという思いでした。甘い球を1球でしっかり捉えることができました」。目の前に見える三塁ベンチに向かって、自分でも驚いたという表情でポーズを取った。

山本とは今季6度目の顔合わせ。ここ2戦はともに7回無失点に抑えられ、白星を献上していた。チーム全体で対戦打率1割台だった。それだけに価値ある1勝だ。工藤監督も、若い力の奮闘に「ほしいところで打ってくれた。早い回に得点できたのが大きかった」と目を細めた。

難敵を攻略し、チームは3連勝。2位ロッテも逆転サヨナラで勝ったため、ゲーム差2は変わらず。指揮官は「とにかくぼくらは1試合1試合、目の前の試合を勝っていくしか方法はない。集中してやっていきたい」。勝負の秋は、まだまだこれから。負けられない戦いが続く。【山本大地】

▼ソフトバンクは11日ロッテ戦が7人、13日オリックス戦が5人のリレーで完封勝ち。昨年9月の阪神が22日DeNA戦7人、24日巨人戦5人、28日DeNA戦5人で3試合連続完封勝ちしたが、パ・リーグで5人以上の継投による2試合連続完封勝ちは初めて。