「おかわり3世」の誕生だ。桐蔭横浜大・渡部健人三塁手(4年=日本ウェルネス)は112キロの巨漢で大学通算25発の右の強打者。西武の外れ1位指名に驚きを隠せず、珍回答で会見場を爆笑に包んだ。高3時にもプロ志望届を提出したが指名がなかった。悔しさをドラフト1位で大願成就させた。

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チームメートからは「べっけん」(わたなべけんとを略して)と呼ばれる人気者は緊張していた。西武の外れ1位で名前が呼ばれると、小さく椅子から跳び上がる。すぐに、左隣の斎藤博久監督と握手。真っ赤になった顔、唇は震えてた。

渡部 指名されないかもと思っていました。びっくりしました。何位とか、何も思ってませんでした。1位指名なんて…、分かっていなかったので、びっくりして監督さんと握手しました。

監督への思いを聞かれると「今は特にないです」と、まさかの返答。はっ、と思い直して「ここまで育ててくれてありがとうという気持ちです」。気が動転して「ありがとう」と言い間違える。見学していた4年生から「まさかのため口!」とツッコミが入り、さらに爆笑が続いた。

「山川選手、中村選手のように、体の大きな選手として長打をアピールしたいです」。対戦したい投手に「巨人の菅野投手、ソフトバンクの千賀投手です」と臆せず答えた。

室内練習場ではカメラマンのリクエストに応じて、山川のどすこいポーズを5回、大声で「どすこ~い」と叫び、四股ポーズも4回。その直後、会見場へ移動する際には、サッカー部の高校生から「どうしたら体を大きくできますか?」と直撃された。にこやかに「間食がいいよ。僕の場合は1度にたくさん食べられないから。間食はチョコだね。頑張ってね」と優しくアドバイスした。

契約金の使い道は「ここまで育ててくれた両親にあげようと思います」と親思いの言葉が似合う。4年生はそんな渡部を「ゆるキャラです。人気出ますよ、きっと」とうれしそうに見つめた。【井上真】