阪神矢野監督が、運命の糸をたぐり寄せた右手で、渾身(こんしん)の「矢野ガッツ」を繰り出した。大学NO・1スラッガー近大・佐藤を巡り、4球団競合。くじ引きは2番目で、封筒は3つ残っていた。最初に手が触れた封筒は取れなかったという。2つめに触った別の封筒は「直感」でしっかりとつかんだ。18年は2度クジを外し、昨年も1度外していた。自身4度目の抽選。「(封筒を)開けるときは手が震えた」。緊張で時間がかかり、中身を見たのも抽選に臨んだ4人のうち最後。交渉権獲得を確認すると、ガッツポーズをつくった。

矢野監督 やったという思いと。ホッとしたというのと、すごく…、なんやろ…、興奮してよう分からんね。

気持ちの高ぶりが隠せないのも無理はない。1位指名選手の最終決定はドラフト当日に持ち越されていた。宿敵巨人、常勝ソフトバンク、同じ関西に拠点を置くオリックスが、既に1位指名を公表していた。それでも、あえて挑んだ。スケールの大きさが決め手だった。

矢野監督 パワーはプロに入っても上のクラス。(甲子園の)浜風に負けないホームランを打てるパワーが大きな魅力。

内外野ともに守れるだけに、外野として育てるプランもある。将来像もくっきりと描かれている。

矢野監督 悠輔(大山)が本塁打キングを取ってくれたら、右と左のチーム内での本塁打争いが、俺らも楽しみやし、タイガースファンも楽しみにしてくれる部分。俺としてはそれが一番見てみたい。

右の大山、左の佐藤。2人のキング争い-。

矢野監督 日本を代表する打者になっていってくれる素材。未来像を考えるとワクワクするね。

「100点に近い」と振り返った20年ドラフト。大きな夢を抱く逸材を、その手で引き当てた。【松井周治】