ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。

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ソフトバンクが投手力でペナントを奪回した。チーム防御率がリーグトップの2.96。現在、リーグ2位のロッテに0.94の大差をつけている。先発投手の防御率は昨年もリーグ1位だったが、数字は昨年の3.87から3.17へ上昇。10試合以上先発したのは7人いたが、16試合千賀が2.49、17試合東浜が2.18、16試合石川が2.54、11試合ムーアが2.69、16試合和田2.94と、5人が防御率2点台。10試合以上で先発防御率4点台は二保しかいなかった。

これだけ先発が安定していれば前半の失点は少なくなり、1~5回の防御率は2.98で、5回まで無失点が34試合、1失点が28試合。5回終了時に1失点以下がリーグ最多の62試合あり、その試合は46勝13敗3分け、勝率7割8分だった。先発がしっかり試合をつくり、モイネロ、森ら防御率2点台の救援投手が後半を抑えて白星を重ねた。

過去、2位に最も差をつけた防御率1位チームは90年巨人で0.74差。パ・リーグでは工藤監督が防御率のタイトルを獲得した87年西武の0.71差で、今年のソフトバンクは90年巨人を抜く新記録をつくりそうだ。ただし、現時点で規定投球回到達者はおらず、「規定投球回到達者0」でVは打撃で圧倒した昨年の西武に次いで史上2度目。傑出した成績を残した投手はいなくても、レベルの高い投手をそろえて優勝した。