いよいよ先発に本格復帰だ。阪神藤浪晋太郎投手(26)がブルペンデーの中日戦(甲子園)で9月13日以来の先発マウンドに上がり、4回1失点と好投。チーム内のコロナ禍の影響もあって中継ぎに配置転換されて以来、結果を積み重ねてきた豪腕に、矢野燿大監督(51)は次回先発起用を明言した。阪神は負ければV逸のピンチをしのいで4連勝。2位中日に1ゲーム差に迫った。

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約1カ月半ぶりに立ったまっさらなマウンドで、藤浪は確かな成長の証しを見せた。「やっぱり先発したいっていう気持ちは自分の中で強いので、ゲームの最初から投げるのは久しぶりだったので良かったと思います」。ピンチはいきなりやってきた。初回2死満塁で迎えた福田に、カウント3-1から外いっぱいに158キロ直球を投げ込むも判定はボール。押し出し四球に苦笑いを浮かべたが、自らを納得させるように2度うなずくと再びマウンドへ。続くピンチで、シエラをカットボールで空振り三振に仕留めた。

2回以降、走者を出したのは四球の1度だけ。「オープナー」の先発で4回2安打1失点(自責0)6奪三振。変化球でカウントをつくり、直球で空振りを奪った。好投した右腕の次回について、矢野監督は「先発で次回も行こうかなと思います」と明言。「スケールの大きいピッチャーなんで、先発で投げるっていうところが、目指すところなのかなと思う」。進化した姿に期待した。

緊急の配置転換が功を奏した。先発では8月21日ヤクルト戦で692日ぶりに勝利したが、3戦連続5回未満の降板で9月14日に登録抹消。その後9月下旬にチームのコロナ禍で緊急昇格すると、中継ぎで13試合に登板した。直近8試合で連続無失点を続け、19日ヤクルト戦(甲子園)では球団最速の162キロもマーク。「より配球を考えたり、印象づけだったり、そういうところを、中継ぎでいろいろ勉強できた部分もあるので、生きた部分はあると思います」。プロ8年目に得た大きな財産だ。

この日は藤浪から投手7人で継投。V消滅がかかった試合で4度目の勝利を収め、ともしびを消さなかった。今度は「先発・藤浪」で白星を-。「多分シーズン最後になると思いますけど、いい形で来シーズンにつながるように投げられたらなと思います」と力強く意気込んだ。【磯綾乃】