オリックスは12日、来季の新監督を発表した。中嶋聡監督代行(51)が内部昇格し、21年シーズンより監督に就任する。

「不安がいっぱいの方が大きい部分があります。正直、本当に荷が重い気がいっぱいだった。このチームをどうにか強くしたい。このチームで勝ちたいという気持ちがありましたので、微力ながら力を貸せたらなと思いました」

今季で24年連続で優勝を逃したオリックスは「育成&勝利」を掲げて中長期政権のビジョンを描き、中嶋監督の手腕に託した。「(立て直すのは)そう簡単なことではないので、基礎中の基礎から、根本的なものからやっていきたいなと思います。それがいつか実を結んでくれたらなと思いますし、特効薬というものはないと思っています」。

昨季から2軍監督を務めていた中嶋監督は、西村前監督の事実上の解任を受けて8月21日西武戦(京セラドーム大阪)から監督代行として指揮を執った。今季は「自分のチームの力を把握するのももちろん、相手チームの力を図ることができたのが収穫かなと思います」と振り返り、「勝てるチームになりたい。そこに向かって全力でやる。そういう選手を使っていきたい(出場機会は)自分でチャンスをつかむしかない。横一線だと思います。新人だろうと何だろうと関係ない。そこでしっかり競争してくれたら」とナインに期待した。

「対話重視」の新指揮官だ。捕手陣のキャッチング練習や送球指導を身ぶり手ぶりで行う。NPB最長の実働年数29年の経験を生かし、頓宮、若月、伏見らを手塩にかける。「育成&勝利」を遂行し、結果を出すのは至難の業だが「そこに挑戦していくのが、我々の仕事」と監督代行初日にも宣言していた。

「来年こそ(ファンの)皆さんと良い思いがしたいと思いますので、その課程を見ててください。育成という部分では、少し進んだのかなと、それが勝利に結びついたかというと少し違う。ずっと続けていかないといけないと思います」

オリックスは今季、45勝68敗7分けの借金23でシーズンを終えた。「この最下位という屈辱だけは絶対忘れずに、来年のキャンプまで過ごして欲しいなと思います」。シーズン最終戦で中嶋監督が語ったように、来季に向けて志を高く持つ。【真柴健】

 

◆中嶋聡(なかじま・さとし)1969年(昭44)3月27日、秋田県生まれ。鷹巣農林から86年ドラフト3位で阪急入団。97年オフにFAで西武移籍。03年横浜、04年に日本ハムへ移籍。15年に現役引退。ベストナイン、ゴールデングラブ賞各1度。16年から日本ハムのGM特別補佐としてパドレスに派遣され、18年は1軍コーチに復帰。19年からオリックスの2軍監督。20年8月21日から1軍監督代行を務めた。182センチ、84キロ。右投げ右打ち。