「ヤクルト内川」が誕生した。ソフトバンクを退団した内川聖一内野手(38)が11日、都内の球団事務所で正式契約を結んだ。背番号は「7」で、1年契約。年俸は5000万円。

緊張した面持ちで、スーツ姿の内川がヤクルトの球団旗の前に座った。「横浜(現DeNA)で花を咲かせてもらって、ソフトバンクでその花をさらに大きなものにさせてもらった。ヤクルトにお世話になるのが、僕のプロ野球選手にとって最後の道になると思う」と気持ちを明かした。

11年ぶりのセ・リーグ復帰。セ・パ両リーグで首位打者を獲得した経験と実績もあるからこそ、2年連続最下位のチームに与える影響は大きい。「お世話になった球団に咲かせてもらったものを、ヤクルトに還元できるといいと思うし、もうひと花、自分で咲かせられるように頑張りたいという気持ちでいっぱいです」と話した。

入団決定後、青木や石川と連絡をとった。新キャプテンの山田哲からは「ヤクルトを選んでくれてありがとうございます」とLINEがきた。ソフトバンクで主将を務めた経験もあり「哲人がチームをこういう風にしたいとか、ベテランとしてこういう風に動いてほしいということがあれば言ってくれと、伝えさせてもらいました」と力強い援軍になる。

交渉解禁となった7日午後、すぐに球団から電話があった。「力を貸してほしい」という言葉に、胸が熱くなった。今季、ソフトバンクでは1軍出場ゼロ。「これは内川じゃなきゃダメだ、という状況を、自分で作り出せなかった」と振り返った悔しさは、来季にぶつける。自分の力で、新たな立ち位置をつくり出す。今オフは、宮崎や地元大分で自主トレを行う予定だ。

グラウンド内外で、存在感を見せることになりそうだ。小川GMは、今季の得点圏でのチーム打率が低かった課題を挙げた上で、さらなる相乗効果も求めている。「内川という存在自体が、選手からすると興味があると思う。勝負強さ、勝ち方を聞きに行ったりできれば。若手が聞きに行くことは自覚の表れになるので、そういう成長も期待したい」と話した。百戦錬磨のベテランは自身の立場を十分に理解しており「内川をとってよかったと言ってもらえるように、頑張らないといけないなと思います」と決意した。

来季からは、神宮が本拠地になる。子どもからは「来年はパパの応援に行って、みんなで傘を振れるね」と送り出されたという。今季リーグワーストのチーム打率2割4分2厘だった燕打線に、強打者が加わる。「得点数を増やしてファンのみなさんに傘を振ってもらって、喜んでもらえる形をつくれればいいなと思います」。歓喜の東京音頭を、心待ちにしている。(金額は推定)