広島上本崇司内野手(30)が盛り上げ役に再名乗りを上げる。

昨季わずか3試合だった先発出場が今季14試合に増えるなど、主力の代役を担った。8月28日阪神戦(マツダスタジアム)ではプロ初のサヨナラ打を放ち、お立ち台では涙も流した。存在感を高めた一方、若手の台頭が目立った状況からベンチでは1歩引いた立場で声を出していた。だが、チームは開幕直後から下位に低迷し、浮上することなく5位で終えた。「勝てないとお葬式みたいになる。僕も自分のことで精いっぱいだったのもありますけど、誰か声を出してくれないかなみたいな感じでした。僕にかなうやつはいないです。野球をやる以上、楽しくなければいけない。来年は声を出していかないといけない」。大きな声を出せば士気が上がるわけではない。仲間の心を揺さぶる“ツボ”を知るムードメーカーが来季はひと肌脱ぐ。

幼少期から背中を見てきた兄博紀(阪神)が今オフ、現役を引退した。フォロースイング後にバットを高く放り投げる動きなど影響を受けたものは数え切れない。「もともと真面目な人で、あまり手を抜く人ではない。常にがむしゃらに、恥ずかしがらずにやる。そういうのはやっぱり格好いいと思います」。自身も来季は原点に立ち返って、がむしゃらに勝利を目指す。代走や守備固めだけでなく、先発出場や盛り上げ役も、優勝のためなら何役でもこなすつもりだ。【前原淳】