井口体制4年目のVへ。ロッテの新ヘッドコーチに就任した今岡真訪氏(46)がインタビューに応じ、意気込みを語った。3年務めた2軍監督から配置転換された参謀役はチーム打撃の重要性を強調。個性を伸ばして有望株のレベルアップを期し、優勝、日本一に向けてサポートに徹する。【取材・構成=酒井俊作】

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-2軍監督からヘッドコーチへ。役割は大きく違う

今岡ヘッドコーチ(以下今岡) ロッテは1974年以来、レギュラーシーズン優勝がありません(※)。マネジメントの重要性を感じています。2軍は育成が中心でしたが、これからは1軍メンバーの見極めも大切です。主力から1、2軍を行き来する選手まで、それぞれ長所があって役割がある。いかに個性を引き出せるかですね。

-井口監督とは同い年で野球観を共有する。どう指導していくのか

今岡 本塁打王、首位打者、打点王、盗塁王などのタイトルホルダーが出ても、チームが優勝しないと価値は薄れます。極端に言えば、全員が打率2割6、7分でも優勝する。これがコーチの腕の見せどころです。勝つためにすべきことを徹底して指導することが大切です。優勝して結果的にタイトルを取る選手が出れば、理想の形だと思います。

-チーム打率2割3分5厘は両リーグワースト。打力の向上は来季の課題だ

今岡 悲観していません。たとえ、凡打でも走者を1つでも先の塁に進める。凡打でも1点を取る。この意識を徹底すれば、いい凡打になります。ゲームで4打数1安打なら、1本のヒットよりも、凡打した3本がどのような内容か。それとエンドラン、バントのサインの遂行能力を高めること。この確率を上げれば、おのずと打率はついてくると考えています。

-安田は今季、打率2割2分1厘だが4番で87試合先発。将来の期待株だ

今岡 4番を打たせてもらった形です。でも、彼は自分が本塁打や安打を打って勝つことも大事だけど、チームが勝つために、どういう凡打を打てば貢献できるかを大いに学んだと思います。何より、優勝争いするチームの4番は考えることが違う。すごく野球を「勉強」したのではないかと思います。これを来年に生かしてほしいですね。

-藤原は今季、2軍戦でリーグ2番目に多い75三振だったが1軍で好結果も出した。打撃は進境著しい

今岡 いくら三振しても、私も打撃コーチも、技術を含めて一切、何かを言ったことはありません。先頭打者なら「ホームラン打ってこい!」でいい。でも、走者三塁で、相手の内野が下がって、ゴロを転がせば1点の状況で、三振したらダメだという教育をしています。試合のなかでメリハリをつけるということ。個性を消さずに、試合で勝つためにすべきことを徹底させる。藤原は打撃で注目されましたが、守備走塁の意識が去年と全然違い、ものすごく成長しています。とにかく、選手個々が持つ能力を最大限、引き出して勝つことですね。

(※)05年はリーグ2位からプレーオフに勝ってリーグ優勝

◆今岡真訪(いまおか・まこと)本名・誠。1974年(昭49)9月11日、兵庫県生まれ。PL学園から東洋大を経て、96年ドラフト1位で阪神入団。強打の内野手として頭角を現す。03年3割4分で首位打者。05年打点王となった際の年間147打点はプロ野球3位、球団1位。10年ロッテに移籍し12年引退。通算1309試合、1284安打、594打点、122本塁打、打率2割7分9厘。現役時代は185センチ、83キロ。右投げ右打ち。16~17年は阪神で2軍打撃兼野手総合コーチ、18年から今季までロッテで2軍監督を務めた。