30歳で30盗塁。広島堂林翔太内野手(29)が新シーズンを前に、キャリアハイの盗塁数を目標に掲げた。

昨年は8年ぶりに規定打席に到達するなど、低迷する広島の中で存在感を発揮。打撃面が注目される中で、リーグ3位の17盗塁を記録した。走塁意識向上のきっかけとなった河田ヘッドコーチの復帰とともに、堂林が快足に磨きをかける。

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再ブレークした20年、堂林はただひたすらに駆け抜けた。21年は地に足をつけて、さらなる成長が期待される。目指すは各打撃成績のキャリアハイ。加えて、ひそかに狙う数字がある。「30盗塁、したいですね。目標は大きく」。8月で30歳となるシーズンに、自己最多30盗塁を掲げた。

昨季は盗塁王の阪神近本、巨人増田に次ぐリーグ3位の17盗塁を記録した。中日大島やDeNA梶谷(現巨人)という各球団の1番打者をしのぐ数字であり、リーグ上位5人の中で唯一の盗塁成功率8割超(8割1分)だった。

打撃面が注目される堂林だが、走塁への意識も高い。きっかけは16年の河田外野守備走塁コーチとの出会い。「河田さんが来て意識が変わった。スライディングからトップスピードに乗るまでの技術も教えてもらい、手応えを感じました」。同年1軍では出場機会が少なく3盗塁に終わるも、2軍では15盗塁。3連覇した18年は15試合で代走として起用された。

出場機会が増えた昨季の盗塁数増は自然な流れだった。それでも「今年は相手からも違う見られ方をすると思う。他の選手と比べてスピードがない分、何か考えないといけない」とさらなる向上へ余念がない。河田ヘッドコーチの復帰を追い風に、さらなるスピードアップを目指す。

1月は護摩行をへて、沖縄県内で行っている鈴木誠らとの合同自主トレに加わる。「1月はとことん打ち込むことになるので、12月に心肺機能を上げるサーキットトレーニングなどを多くやってきた」。正三塁手死守のため計画立てて準備を進める中、走力への意識も忘れない。

昨季上位を任された試合は27試合しかない。「任せられたところで、その役割を果たしたい」と言いつつ、「上位を打たせてもらっているときは走りやすかった。数を増やすためには自分の打順も上げていかないといけない」と意気込む。打撃とともに走力をアピールし、一気に広島の中軸に駆け上がる。【前原淳】