虎のドラフト1位がこだわりの「佐藤流」で発進した。阪神佐藤輝明内野手(21=近大)が入寮から一夜明けた7日、鳴尾浜球場で初打ちを行った。みぞれが降る寒さの中、午前10時ごろに、ヘアバンド、ネックウオーマーを着用し球場に現れると、ランニングなどでウオーミングアップ。その後、室内練習場へ移動し、約30分間、黙々とひとりで「置きティー」での打撃練習に取り組んだ。

仁川学院高では自主練習の時に好んで、置きティーを行っていた。近大でも同様。投手の球はトスで投げてもらうように斜め横から来ないというのも理由だが、佐藤輝は以前、こだわりを語っていた。

「置きティーは投手をイメージしやすい。しっくり来る。ボールがずっと同じところにあるので、それを同じところに同じ感じで打ち返す。それが一番シンプルかなと。自分が思ったところにしっかりバットが出せるように。体にインプットさせてアウトプットさせています」

同じ位置にある球をネットの同じ場所に突き刺すには、バットの出し方なども同じでとらえなければならない。関西学生リーグ通算14本塁打の豪快なスイングは、置きティーを繰り返すことで、精密に作り上げられてきた。いつも最初は高めに設定し、そこから高さ、コースを変えていく。これからプロで厳しい攻めをされても、苦手なコースを打ち込むことで対応力をつけることもできる。

この日はウエートトレーニングも含め1時間半、動いた。「トレーニングルームとか特に器具とかいっぱいあって、すごく使いやすい。(前夜の寮の夕食も)めちゃくちゃおいしかったです」と、1日で虎風荘の暮らしを気に入った様子。自室に持ち込んだ約50万円の特注マットレスで「よく眠れましたね」と睡眠もばっちり。寒さに負けず、キャンプへ体を仕上げていく。【石橋隆雄】

【佐藤輝こだわりアラカルト】

◆本塁打動画 自身のプレーで一番追い求める本塁打について、動画での研究は欠かさない。メジャーリーグ、日本のプロ野球などの本塁打を集めた動画を見る。

◆グラブ 三塁手を守っていた近大4年の秋、少し大きめのグラブに変更。「球際とか、逆シングルとかも捕りやすくなりました」。

◆ウエートトレーニング 仁川学院2年秋から意識改革し、筋力アップに努める。実家の自室から勉強机を出し、ベンチプレスができる器具を設置。

◆モノノフ アイドルグループ・ももいろクローバーZのファン(通称モノノフ)。高城れに推し。プロ野球の世界で成績を出し、メンバーにその存在を認められたソフトバンク石川を目標とする。石川にはライブ会場で偶然会い、あいさつした。

◆特注寝具 地元西宮市のふとん店で約50万円のマットレスをオーダーメードで注文。6日の入寮で持参した。