プロの壁をぶち破れ!阪神矢野燿大監督(52)が9日、春季キャンプ(沖縄・宜野座)での新人1軍サバイバルを宣言した。兵庫・西宮市内のホテルで合同スタッフ会議を開き、キャンプ日程などを確認。新人からドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)、同2位の伊藤将司投手(24=JR東日本)ら大量7人を1軍メンバーに抜てきする方針を示した。

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ゴングを鳴らしたのは矢野監督だった。指揮官はルーキーたちへの期待を口にした。「チームの競争がより激しくなるような選手が取れた。まずは選手それぞれの力がどれくらいの力があるのか見極めるキャンプになると思う。その中で勝ち上がって来てくれればもちろん使っていきます」。高卒1年目のドラフト7位の高寺、昨夏にトミー・ジョン手術を受けた育成1位の岩田将を除く新人7人を1軍キャンプに抜てきすることを決めた。

虎の1軍キャンプで新人7人は、01年の赤星、藤本、沖原らの6人を超えて「21世紀最多」。これは矢野流の選手育成術でもある。「まずはその中で、自分の現在地を知る。自分のチームも、練習試合の他チームの選手を見るにしても、1軍って、有名な選手って、こうなんだとか、やっぱり肌で感じたり実感できる」。その意図は明確で「まずは己を知れ」という方針だった。

スタッフ会議の前にはこの日から鳴尾浜球場でスタートした新人合同自主トレを視察。緊張するルーキーたちを見渡して言葉を投げかけた。「今持っている気持ちを発揮して、それでうまくいくのが一番いいことかもしれんけど、俺としては早く壁にぶち当たってほしい。その壁が自分を成長させるものになる」。6位中野、8位石井大に話を振るなどリラックスムードを演出しつつ、プロの壁を知ることが成長の第1歩と訓示した。

第1クールからシート打撃など実戦形式の練習を組み込む。9日には今季初の対外試合となる日本ハム戦(宜野座)を予定。オープン戦を含めてキャンプ中の対外試合は9試合で、3月1日に打ち上げる長丁場だ。矢野監督は「俺の思いとかさ、チームとしてやることっていうのも直接だから伝えやすいし、そういう時間にも使いたい」と付け加えた。ルーキー7人にとっては、競争はもちろん、矢野野球を体に染みこませるキャンプになる。【桝井聡】