メンタルコントロールの重要性が垣間見えた。巨人の2軍宮崎キャンプ。7日は前日よりも気温が上がり小春日和の快晴だった。キャッチボールが始まろうとしたときだった。阿部2軍監督が「野手がいいな。だれとキャッチボールしようかな」と周りを見渡し、高卒1年目ルーキーの中山礼都内野手(18=中京大中京)を指名した。

緊張気味に始まったキャッチボールは徐々に距離が伸びる。スローイングには定評があるルーキーだったが、なかなかコントロールが定まらない。阿部2軍監督は「大丈夫だよ。思い切って投げてこい」とにこやかに受け止める。阿部2軍監督にとっては何げない1コマかもしれないが、中山のプロ野球人生では決して忘れられない記憶として刻まれるだろう。この緊張感を持ち続け、受け入れて、打破すること求められるだろう。

ルーキーとのキャッチボールを終えた阿部2軍監督は、休み間もなくブルペンへ直行した。育成出身の堀岡隼人投手(22)の正面にしゃがみミットを構えた。「欲張らなくていいから。最初は『だいたい、このへんだな』ってイメージで投げてくればいい。高さもそんなに気にしなくていいから」とアドバイスした。

30球に差し掛かったころだった。原監督も2軍ブルペンを視察に現れた。隣のレーンで投球していた谷岡は投げ終わり、堀岡の独壇場となった。1、2軍監督の視線を同時に独占しての投球練習。予期せぬタイミングでアピールのチャンスが到来し、当然のように力みは生じる。阿部2軍監督は「いい球を放ろうと思わなくていい。ちゃんと自分の課題を意識して投げればいい」と堀岡の心中が透けて見えているかのように指摘した。

中山がキャッチボールでコントロールが荒れるようではドラフト指名は受けていない。育成から支配下3年目の堀岡も、アピールが実らなければ来年の保証はない。根性論とは違う。メンタルの強さ、メンタルが及ぼす影響はとてつもなく大きい。【為田聡史】

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