プロ9年目で初の開幕投手が決まった阪神藤浪晋太郎投手(26)が9日、甲子園で広島とのオープン戦前の全体練習に参加後、大役に懸ける覚悟を語った。

藤浪は表情を引き締めた。プロ9年目で初の大役。「驚きしかなかった。まったくと言っていいほど頭になかったので。ただただ驚いたというのが1番。落ち着いていない状況です」と偽らざる胸中を明かした。

7日に矢野燿大監督(52)から通達され、3月26日ヤクルト戦(神宮)の先発が決定。この日、あらためて指揮官から思いを伝えられた。

「大山がキャプテンをやったり、近本が選手会長をやったり、お前たちの世代で強いタイガースを」-。

指揮官から同学年の2人の名前もあげられ、覚悟を決めた。

中継ぎも経験した昨季は球団最速162キロを計測するなど、復調を印象づけた。とはいえ、24試合登板で1勝どまり。今春は3年ぶりの開幕ローテ入りを争う立場からスタートし、この1カ月で首脳陣の評価を大きく上げた。

「加速距離」を重視して、オフからワインドアップに再挑戦。制球の精度、安定感を明らかに向上させた。2月から実戦計4試合12イニングで1失点。大黒柱の西勇、昨季11勝の秋山、2年連続規定投球回クリアの青柳らハイレベルな先発陣の中から開幕投手に指名された。

「(開幕投手は)チームの顔だと思いますし、もちろん責任もあると思います。期待していただいている。結果で示したい」

ツバメ打線は昨季7試合登板で防御率1・48と抑え込んでいる相手。特に神宮には前向きなイメージが残る。昨年8月21日に692日ぶりの白星を手にした舞台でもある。

「やっぱりチームに勢いがつくような投球をしたい。打たれるより打たれない方がいいと思いますし、もちろん苦しい場面もあると思いますけど、なんとか粘ってチームの勝利につなげられたらと思います」

大器は決意を言葉に込めた。【佐井陽介】

◆藤浪の今春

1月25日 鳴尾浜のブルペンで再挑戦中のワインドアップ投法を初披露。新フォーム導入の理由は「加速距離」を取るため。

2月2日 1軍沖縄キャンプのブルペンで足を上げた際に1度三塁側に視線を移す新スタイルを披露。

2月7日 21年初実戦の紅白戦は2回を無四球3奪三振1安打無失点。ドラフト1位佐藤輝から空振り三振を奪い、最速156キロ。

2月21日 対外試合初戦の広島戦で3回3奪三振2安打1四球無失点。147キロスプリットで驚かせた。

2月27日 中日戦で3回を3安打1四球1失点。中日側のスピードガンで最速158キロを計測。

3月1日 矢野監督からキャンプ投手MVPに選ばれ「ちょっとビックリ」。

3月5日 ソフトバンク戦で4回2奪三振3安打2四球無失点。最速158キロでスプリットは149キロ。