「3・26」の開幕投手12人が決まった。ロッテは二木康太投手(25)が抜てきされた。球界では無名といえる鹿児島情報高から13年ドラフト6位で入団。昨季9勝の190センチ右腕は、プロ1年目には直球が130キロに満たなかったこともあった。まさしく“成り上がり”で、8年目の春に大役をつかんだ。13~16年にロッテ2軍投手コーチを務めた小谷正勝氏は、二木の現在地を「想像をはるかに超えた」と評した。

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19日巨人戦の登板を見て、投手としての成長を感じた。2回、岡本和を直球で追い込み、フォークで空振り三振。負けん気が強く、勝負の時に速球を投げたがる投手だったが、己を知ったのだろう。打者を見ながら、冷静に落ちる球を選択した。マウンドでは菅野、楽天田中将らエースの顔つきで「打たれるもんか」と自信満々に感じた。

プロ1年目、投球を最初に見た時、変則的な間合いに「面白いな」と思った。普通の投手は「1、2~の3」のリズムだが、二木は「1、2~の3、4」で投げる。左足が地面につくまでに一呼吸あって、プロの世界で勝てる武器となりうる個性だと感じた。

体が細く、体力もなかったが、ブルペンで投げるのが好きだった。私が「もう終わりなさい」と止めるまで投げて、筋力を作り、技術を磨いた。今はウエートトレを重視する考え方もあるが、彼の成長を見れば、プロの投手は投げたもん勝ちだなと再認識した。

感性に触れたのだろう。ある日、捕手の里崎智也が「小谷さん、二木は何年後かにはエースになれますね」とつぶやいた。1軍の先発投手を目標とし、体力、体の各部位の向上、思考力などに重きを置いたが、コツコツと努力を重ね、私の想像をはるかに超えた。