楽天石井一久GM兼監督(47)が、自ら歩み寄った。2日、オリックス戦の試合前練習で、1日のロッテ戦で2回途中10失点の滝中瞭太投手(26)と12分35秒、話し込んだ。

前日の試合後は「先発としてあのイニングを投げきれなかったのは失礼」と厳しい言葉を発しながら、一夜明けで傷心の右腕に寄り添い、ケアに努めた。長丁場のシーズンを戦い抜くために、コミュニケーションに重きを置く新任指揮官が、動きを見せた。

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目線は、傷心の右腕に向いていた。オリックス戦の試合前練習。三塁側ベンチを出た楽天石井GM兼監督が、打球に注意しながら、左翼からフェンス際を伝って、右中間へ歩いた。道中、故障からの復帰に努める田中将と軽く言葉を交わし、目指した先は滝中。キャッチボールを終えた右腕の右隣に立ち止まった。体重移動やフォームに関し、大きな身ぶり手ぶり。話し込むこと12分35秒。気づけば場所は中堅に移り、最後はグータッチで締めた。

前日は、ばっさりと切った。2年目で初の開幕ローテをつかんだ右腕は、満を持して先発するも、ロッテ打線に圧倒された。1回2/3、7安打4四死球10失点。「チームがいい流れで来ていたのに申し訳ないです」と64球でマウンドを下ろされた。覇気なく崩れた右腕に指揮官は厳しい言葉を並べた。「先発で十分に調整の間をしっかり与えている。先発としては最低限の踏ん張りは見せてほしい。後ろで守っている野手の人にも、ブルペンで毎日待機してくれるピッチャーにも、先発としてのあのイニングを投げきれなかったのは失礼だなと思います」。

現状、滝中の立ち位置は“先発6枚目”争いの一員だ。田中将をはじめ、岸、涌井、則本昂、早川と豪華先発陣をそろえる中、リーグ優勝へ6枚目の浮沈が、最後の一押しに大きく関わる。指揮官が“先発-”に求める能力は「6回以上自責3以下」のクオリティースタート(QS)力。昨季先発した8試合中4度のQSを達成した力を持っているからこそ、期待を込め、言動に熱がこもる。

試合前練習を終えた後の囲み取材。「雨とかでスケジュールが飛ぶ可能性がある。なんか1回、1回ダメで、と言ったら人がいなくなってしまう」と滝中へ再チャンスを与えることも示唆した。心情を察し、即行動に移した指揮官の思いは届くのか。答えは滝中の右腕にかかっている。【桑原幹久】

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