阪神がサヨナラ勝ちで今季のホームゲーム初勝利を飾った。0-0で引き分け寸前9回2死一、二塁。山本泰寛内野手(27)が人生初というサヨナラ打で試合を決めた。昨オフ巨人から金銭トレードで移籍し、虎党の前で初めてのお立ち台。「タイガースの一員になれた」と喜びを爆発させた。チームは貯金を2として2位に浮上。セ界王者巨人で鍛えられた男が、16年ぶりVへの起爆剤となる。

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京セラドーム大阪が沸いた。中堅フェンス手前まで飛んだ打球を見届けると、山本は両手を大きく広げた。ベンチから飛び出してきたナインからは、歓喜のウオーターシャワーだ。人生初というサヨナラ打。「タイガースの一員になれた気がして本当にうれしいです!」と喜びを爆発させた。

スコアボードは9回表まで両軍0行進。凡退なら引き分けの2死一、二塁で打席が回ってきた。「積極的に。初球から浮いてきた球は逃さずいく」。感覚を研ぎ澄まし、中日2番手福の127キロスライダーを捉えた。前進守備を敷いていた中堅大島の頭上をはるかに越える二塁打。「あの場面で代打を送らないで使ってくれた監督に感謝したいと思います」。8回に守備から途中出場した男が、ワンチャンスをものにした。

その集中力を鍛えてくれた師がいる。巨人にいた昨季は5年目で初の1軍出場なし。「来年は、来年は…とずっと思って取り組んできた」とジャイアンツ球場で汗を流し続けた。阿部2軍監督からは「頭で考える」ことの大切さを教わった。「(学んだことは)全てだと思います。狙い球を絞って、思い切っていくところはいく。すごく学びました」。教えを体現する、値千金の一振りだった。

昨オフに金銭トレードで阪神に加入。手薄な右打ち内野手の活躍に矢野監督も「小技もできるし、守備もできるし、打つ方も悪くないし。レギュラーになれる力は持っていると思う」と大絶賛。「明日も左が来れば、スタメンももちろん考えている」と、左腕小笠原が予告先発の、4日のスタメン起用も示唆した。

妻はMBS辻沙穂里アナウンサーで現在産休中。近々子どもが誕生する予定で、大黒柱として一層気合が入る。「今日の勢いそのまま、また連勝ができるように、しっかり継続して結果が残せるように準備していきます!」。背番号00が自己紹介代わりの活躍で、虎党のハートをつかんだ。【中野椋】

◆山本泰寛(やまもと・やすひろ)1993年(平5)10月10日、東京都生まれ。慶応高から慶大に進学し、15年ドラフト5位で巨人に入団。バッテリー以外の内野全ポジションをこなすユーティリティープレーヤー。通算193試合に出場し、打率2割3分7厘、3本塁打、24打点、5盗塁。今季推定年俸1800万円。176センチ、76キロ。右投げ右打ち。

▼阪神のサヨナラ勝ちは今季初。巨人から阪神へ移籍した選手によるサヨナラ安打は、広沢克実が01年6月21日巨人戦で岡島から中越え打を放って以来20年ぶりで、2リーグ分立後2度目。

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