阪神近本光司外野手(26)が初回に通算5本目の先頭打者本塁打を放ち、チームを鼓舞した。

初球から2つファウルと積極的に打ち、左腕小笠原の3球目チェンジアップを右翼ポール際へライナーで運んだ。ホームでの今季チーム1号で、ベンチでは矢野監督もガッツポーズ。メガホンの拍手に包まれ、ダイヤモンドを一周した。

「うれしいというよりも、ホッとする。安心というか、気持ち的にやっと出たというか。これは難しい感情ですね」

何としても意地を見せたかった。開幕から1番中堅で全試合出場しているが、打率は1割台。前日の9回、今季初めて代打を送られた。「しょうがないんじゃないですか。打ちたいというのはありましたけど、チームが勝つために必要なことなので」。昨年7月16日のヤクルト戦以来、プロ入り3度目の経験だったが、悔しくないはずがない。思いは一夜明けの初打席にぶつけた。何とか出塁しようという中で「最高の結果」を出した。

7回無死一塁では一塁前にバント安打を転がし、今季2度目のマルチ安打。矢野監督は「本塁打というより安打2、3本の方がチカ(近本)の持ち味だと思う。こういうところから乗っていってほしい」とリードオフマンの巻き返しを期待した。

オープン戦は打率3割2分4厘の好調でシーズンイン。だが9戦を終えた打率は1割6分2厘と低空飛行が続いている。それでも冷静に自分自身を客観視できている。「内容自体は悪くない。悪いのは結果だけ。(相手の)いい球が来て、打てる球が少なかった。それをしっかり仕留められるように」。2番糸原は開幕から打率4割超えと絶好調。近本が安打を量産し始めれば、打線も再び活気づく。会心の先頭弾を復調のきっかけにしたい。【石橋隆雄】

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