<ソフトバンク6-4楽天>◇20日◇北九州

 

11年前の2010年4月21日。北九州市民球場は大雨だった。西武先発の石井一は初回、ソフトバンク松田に2ランを浴びた。「負けましたね。大雨でスパイクが泥だらけになった。もうドロドロで。投げ捨てて帰った思い出しかないです」。6回2失点と試合を作ったが、1-7で敗戦。1発に泣いた。

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JR小倉駅からタクシーで10分ほど。昭和の薫りを残す同球場は中堅119メートル、両翼92メートルと本拠地球場に比べ、やや小ぶりな造りをしている。14年から従来3・2メートルの外野フェンスが5・2メートルに増設された。本紙過去記事には“北九州版グリーンモンスター”との表現もある。柳田、デスパイネ、グラシアル…。昨季リーグトップの126本塁打を放ったソフトバンクの打者陣は打撃練習から“北九州版-”を軽々と越えていく。もちろん松田も、左翼席上段へ放り込んでいた。

経験を糧に、楽天石井GM兼監督は同球場の“1発対策”に持論を展開した。「うちはどちらかというとフライボールピッチャーが多い。ただそこばっかり気にしてもしょうがない。インコースもアウトコースでも、やっぱりかわしにいくとこういう球場だと狭いので入っちゃう。いい風吹いている。攻撃的にいってほしいなと思います」。

楽天先発の岸は、試合前時点で今季奪った63アウト中、フライが28、ゴロが17。救援陣では抑えの松井をはじめ、ブセニッツ、酒居、安楽、宋家豪など150キロを超える力強い直球を武器にする投手が多く名を連ねる。柵越えを怖がり消極的なボールを投じれば、パワー自慢がそろう相手打線に容赦なく持っていかれる。現役時代は剛球で鳴らした指揮官。「ソフトバンクを倒さないと上にはいけない」と名指しで意識する天敵撃破へ、イメージはふくらんでいる。【桑原幹久】

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