今季初めて実施された交流戦は18日、雨天中止分の2試合が行われ、西武、横浜が勝利を飾り、全日程を終了した。両リーグの対戦成績はパが105勝104敗7分けで勝ち越しを決めた。中断期間をはさみセ・パ両リーグ戦は21日から再開される。

勝利の女神が、力を与えた。力んで球が高めにいく。しかし、西武涌井の投げるボールにヤクルト打線のバットは空を切った。6回1死一塁から岩村とラミレスを高め直球で連続空振り三振。「力が入って、たまたま高めにいっただけなんです」。何度、好投しても勝てなかった白星はあっさりと転がり込んできた。

先発で7度目の正直だった。6回2安打1失点。数字を見れば文句なしだが、荒木投手コーチが「今日は1番悪かった。逆球が多くて結果オーライだね」。それでも伊東監督は「試合前に涌井に勝たせてやろうとハッパを掛けたよ」と打線も奮起。今季最多の5本塁打で初勝利を援護した。

開幕ローテーション入りしたが2試合連続でKO。プロの厚い壁が、涌井の思考を変えた。高校時代から先発時は体力の温存を考えて立ち上がりから飛ばさないでいったが、「それじゃ、打たれる。2軍に落ちてからは、最初からいけるところまでってつもりで全力でいってます」とモデルチェンジが功を奏した。

キャンプ、オープン戦で減り続けた体重も80キロに戻った。ウエートトレも熱心に取り組み、同じ体重でも中身は「プロの肉体」になってきた。「なかなか勝てなかった焦りはありませんでした。早く寝るように心掛けていただけです」とウイニングボールを握りながら淡々と答えた。

ダルビッシュにプロ入り初勝利は先を越されたが、ここまでの「投球内容」は負けていない。3日後には19歳の誕生日。「もう少し早く勝てればよかったですね」一足早い誕生日プレゼントは、自らの手でつかみ取った。【小島信行】