阪神近本光司外野手(26)が1番打者の役割を果たし、勝利を呼び込んだ。3安打に加え、四球と敵失で全5打席出塁して3得点。先頭打者で4度出塁し2盗塁も決めた。投手に圧力をかける仕事ぶりに「負けている流れだったので、しっかり得点というのを意識しながら塁に出られたのはよかった」と納得の表情だ。

3回と5回は、ビハインドの状況から先頭で打席を迎えた。いずれも外寄りをセンター方向にはじき返して出塁すると、2番糸原の打席で盗塁、クリーンアップがかえして生還する理想の攻撃を生み出した。6回にも遊撃への内野安打で出塁すると、佐藤輝の適時打で7点目のホームを踏んだ。「左中間に返す意識で入っている」と3安打ともにセンター方向。逆らわないバッティングで4安打を放った4月18日以来、今季2度目の猛打賞となった。

1番打者としてのこだわりは得点だ。開幕前、こう語っていた。「塁に出ることだけじゃなく、しっかりかえってくることが仕事だと思う」。この日は今季自身最多タイの3得点で任務を果たし、「うれしいですね」と喜んだ。

開幕直後に19打席ノーヒットなど打率1割台の低空飛行が長かったが、今季最高の2割4分まで回復と上昇気流に乗ってきた。井上ヘッドコーチは「1番は流れを左右するかじ取りみたいなもん。これからはチカ(近本)がきっちりかじ取りしてくれると思うよ。そういうきっかけにしてほしいね」と首位固めを引っ張る復調を期待した。エンジン全開の5月。近本が打てばさらなる白星量産が期待できる。【林亮佑】

▽阪神マルテ(3回に適時中前打)「先制された後だったから、すぐに取り返すことができてよかった」