西武は13日、育成登録1年目の水上由伸投手(22)と支配下契約を結んだことを発表した。背番号は128から69に変更。埼玉・所沢の球団事務所で契約を結び、会見に臨んだ水上は「1年目からなる自信はあったので、本当に自分の力を最大限出せれば結果もついてくると思いますし、1年目からなれると自分を信じてやっていたのですごくうれしいです」。まずは中継ぎとして1軍での登板を目指す。

育成ドラフト5位で今季入団した新人で、12番目の最下位指名だった。選手で最も大きい背番号を背負い「順位的には最後なんですけど、最後から一番早くなればそんなかっこいいことはないんで。そこだけ、なれたらかっこいいなと思いながらやっていました」。1月の新人合同自主トレから実質わずか4カ月という異例の早さで実現した。イースタン・リーグでは防御率6・91も、チーム最多の13試合に登板。最速151キロの直球と多彩な変化球を内角へ強気に攻め込む姿勢が持ち味の1つだ。

入団当初から松坂大輔投手をあこがれの選手に挙げていた。キャンプではブルペン投球していると「すごいシュートがいいぞ。試合でも使っていけよ」と声を掛けられた。「背中を押してもらえたので、それから本当に試合でも使っていますし、そのボールが今すごい生命線のボールになっています」と、助言を生かして支配下を勝ち取った。

異色の経歴の持ち主でもある。山梨・帝京三高から進学した四国学院大では当時野手だった。4番として2年の春季リーグで首位打者を獲得。3年秋から投手転向し、最多勝と最優秀防御率に輝いた“二刀流”の打って投げる「由伸」だった。名前は、前巨人監督の高橋由伸氏が由来。同じ由来を持つオリックス山本由伸投手に負けじと、投手でプロへの道を切り開き、“第3の由伸”が成り上がっていく。

会見に同席した渡辺久信GMは「とても強気な性格ですよね。これってすごく大事で、試合の中でしっかり内角にゾーンに間違えないでもっていける。今の1軍のピッチャーを見ていても、なかなかインコースに放れないピッチャーが多い中で、ああいうタイプはうちに取って必要」と期待した。

◆水上由伸(みずかみ・よしのぶ)1998年(平10)7月13日、長野・宮田村生まれ。小学4年から西駒ウイングスで野球を始める。宮田中では軟式に所属。山梨・帝京三では甲子園出場はないものの、エースナンバーを背負った。進学した四国学院大では四国6大学野球リーグで、2年春に首位打者、3年秋には投手として最多勝と最優秀防御率を獲得。20年ドラフト育成5位で投手として西武から指名を受ける。176センチ、81キロ。右投げ右打ち。背番号128。血液型O。