失点したけど…。西武平良海馬投手(21)が、34試合連続無失点で、豊田清(現投手コーチ)らのパ・リーグ記録&球団記録に並んだ。1点リードの8回2死一、三塁の場面で登板し、連続四球を与え押し出しによる同点となった。しかし記録上は、直前に登板した十亀が出した走者のため、平良は失点がつかず記録継続。チームは今季13度目の引き分けとなり、笑顔なき記録達成となった。

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大記録にも、首をかしげ笑顔はなかった。平良は少し戸惑っていた。「なんか、失点しているのに続いているという訳の分からない状況で。納得いかないですね、今日は」。それもそのはず、1点リードの8回2死一、三塁で十亀に代わって登板。連続四球で同点に追いつかれた。後続の代打菅野を一邪飛に打ち取り断ち切ったが、平良の本音だった。

記録上、自身が出した走者ではないため、失点はつかない。期せずして、開幕34試合連続無失点で日本記録を更新し、開幕からに限らなくても、パ・リーグ記録に並んだ。記録は並んでも、今季「0」にこだわって投げてきた男にとって、納得いく内容ではない。それだけに「次、マウンド行ったら1試合1試合積み重ねていきたいです」と1歩1歩前に進む。

野球を始めた最初の1歩は、幼稚園児のときに見た車窓の風景からだった。「父の日」の思い出を振り返り「野球始めたきっかけが(父親と)一緒に車乗っていて、たまたま野球をしているのをみて、やりたいってなったんで。それですね、一番は」。沖縄・石垣島の真喜良サンウェーブで野球を始め、球界を代表する右腕にまで上り詰めた。

次は元阪神藤川の持つ開幕に限らない38試合連続無失点の日本記録がターゲットになるが「逆転されなかったので、まあそうですね…」。最後まで歯切れの悪いままだった。【栗田成芳】

▼西武平良が34試合連続無失点とし、03年豊田(西武)14年比嘉(オリックス)のパ・リーグ記録に並んだ。十亀が残した走者をかえしたが無失点だった。プロ野球記録は06年藤川(阪神)の38試合。

▽西武辻監督(平良について)「人の子ですよ、平良も。調子が悪い時もあるでしょう。それでもここまで抑えてきたんだから。追い付かれたけどそれはしょうがないからね。勝つために平良がここしかいないと思って、1人抑えてくれというところだったんでね」

▽西武豊田投手コーチ(34試合連続無失点で並んだ平良に)「こういう場面で起用したのはこちらですし、走者をかえしてしまったのは仕方ない。信頼して起用していますから。貴重な経験を積んでくれていると思います。今後もさらにチームの信頼を得る投球を心掛けてほしいです。信頼されてナンボですから」