首位阪神がラッキーも味方に引き分けた。勝ち越された直後の8回にジェフリー・マルテ内野手(30)がヤクルト清水から右翼ポール直撃の13号同点ソロ。初球を打ち上げたが、相手の落球に救われて“打ち直し”となり、さらに当初の三塁打がリプレー検証で本塁打と判定された。1回は先制二塁打、3回も安打を放ち、6安打だった打線で猛打賞と奮闘した。2位巨人が広島に敗れて、阪神はゲーム差を3に広げた。
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喜びのラパンパラは、約1分45秒の時間差でやってきた。嶋田球審が本塁打のジェスチャーを見せると、マルテは三塁からゆっくりとホームイン。大喜びのナインとともに、夜空に向かって腕を伸ばした。
「しっかり強く打つことができたし、いいスイングができた結果がホームランになってよかったよ」
紆余(うよ)曲折の同点弾だった。8回1死、マルテはいきなり清水の初球を打ち上げた。右翼ファウルゾーンへの飛球で打ち取られたと思われたが、一塁手の荒木が落球。仕切り直してカウント1-2から、再び直球を振り抜いた。右翼ポールに向かって伸びた打球がフェンス際ではね返って転々とする間にマルテは三塁まで激走した。「三塁打」に聖地が大歓声で包まれる中、矢野監督はすぐさまリクエストを要求した。
「確信まではいかないけどね。上の方に当たったなというふうに見えたんで。ホームランかなと思ったんでね。すぐに」
場内で流れたリプレー映像には打球がポールをたたく様子が映っていた。スタンドインを確信したファンは手をたたき、ベンチの仲間はマルテよりも先に喜びをはじけさせた。
守備でも体を張った。同点の4回1死一、二塁、元山のイレギュラーした打球が、一塁後方を守るマルテの右側頭部を直撃した。体をのけぞらせてしまうほどの衝撃にも、痛がるそぶりを全く見せず。平然とプレーを続け、勝ち越しを阻止した。「いつも言っていることだけど、攻撃だけでなく守備でも貢献できると思ってやっている」。9回の守備では、遊撃手中野からの送球に両足をいっぱいに伸ばして捕球。最後は塩見の強烈な打球を一直に仕留めるなど、再三の好守が光った。
初回に先制適時二塁打を放ってから、ゲームセットの瞬間までハッスルした。4打数3安打2打点。この日の全得点はマルテのバットから生まれた。「個人的にはすごくいい1日だったよ。残念ながら勝つことはできなかったけど、毎試合チームの勝ちに貢献することを意識しているから、これからもチームの勝ちに貢献できる一打を打てるように頑張るよ」。打ってもマルテ、守ってもマルテ。次こそ勝利のラパンパラを披露する。【磯綾乃】
【球界の主な打ち直し本塁打】
◆森川康弘(箕島)79年8月16日、夏の甲子園大会3回戦星稜戦。1点を追う延長16回2死から初球を一塁ファウルグラウンドに打ち上げたが、加藤直樹一塁手が転倒して捕球できず。森川は1-2から左中間へ同点ソロ。延長18回サヨナラ勝ちを導いた。
◆落合博満(中日)91年4月29日阪神戦4回、左翼ファウルグラウンドへの飛球を山脇光治が追いつきながらバンザイ。直後に左翼席最上段へ特大の満塁本塁打を放った。
◆高橋智(オリックス)98年3月20日オープン戦西武戦の4回1死二塁に、ブロスに遊飛に打ち取られたかに見えた。ところがこの投球がボークの判定。仕切り直しとなり、次の球を中堅右に運んだ。



