劇画「ゴルゴ13」の201巻が5日に発売され、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が保持するギネス記録の200巻を抜いた。

完全無欠のスナイパー、デューク東郷が世界を舞台に暗躍する。愛読者として麻生太郎財務相が有名。光沢のスーツとパナマ帽がフリークを想起させ、先日も会見で絶賛している。

球界のゴルゴ党として、忘れてはいけない人物がいる。18年に死去した星野仙一さん。

楽天監督に就任早々の11年1月、ミヤギテレビの名物番組「OH! バンデス」に生出演。予定調和は許さんとばかりに「ただの漫画じゃないよ。時代背景、国際情勢について学べるものがいっぱいある。うちにはドサーッと置いてある。サウナで読んだりしているよ。カッコイイ男ですよ。嫌なやつは、アイツに頼もうかな」と褒めちぎり、スタジオを凍り付かせた。

実際、仙台の自宅にはローボードの本棚に全巻が鎮座していた。目の前でライフルの構えをされて「お前、撃たれちゃうぞ。アイツなら1発。ズキューンで終わりだ。アイツは絶対に失敗しない。どんな状況でも1発で仕留める。余計なことを言わないのもいい。漫画は基本的に読まないが、これは別。貸すから持っていっていいぞ」と言われた。

201巻のニュースに触れて思い出し笑いをしただけだが、思い出させてくれるだけでありがたい。53年も続く「とこしえの力」だ。【宮下敬至】