虎の威嚇で、阪神に思わぬ形で先制点が転がり込んだ。

起点となったのはプロ初の「7番」で起用された佐藤輝明内野手(22)だ。3回先頭で、戸郷から一塁への鋭い打球を放つと、ウィーラーがはじいて失策で出塁した。さらに8番中野の併殺コースの遊ゴロを坂本がトンネル。1死一、三塁で近本が二ゴロを転がした間に佐藤輝がホームへ帰ってきた。無安打で1点をゲットした。

矢野監督 1発で大量点を、ドンってもちろん取りたいけど。こういう野球がうちの野球。全員でつなぎとか、粘りとかそういうのをやってくれた結果。

開幕から中軸を担った佐藤輝が、前日8日に決勝3ランを放った大山と入れ替わる形で5番から7番に下がった。ただ、5月2日にプロ初4番に入った時も「自分ができることはいつも通りのスイング」と泰然自若を貫いた男。「恐怖の7番」が打順関係なくフルスイングし、強烈な打球で相手のミスを誘発した。

この日は「ウル虎の夏2021」が開催され、虎の顔が前面にあしらわれたユニホームを着用した。4月16日にお披露目試合として使用された際には、藤浪がお立ち台で「大阪のおばちゃんみたい」と表現したユニホーム。そんな奇抜なデザインの勝負服で臨んだ試合は、これで3戦全勝だ。

矢野監督 縁起って、やっぱり俺どこかで担いでいる。ファンの人にも、このユニホームの印象がいい印象として残っていくんで。

相手のミスに加え、7回途中降雨コールドでのラッキー勝利。「チーム的には優(岩崎)もスアちゃん(スアレス)も休ませられた」。9連戦の4戦目に降った恵みの雨を矢野監督もプラスに捉えた。ウルトラな幸運を呼ぶ“大阪のおばちゃんユニ”で、首位攻防第2ラウンドも取る。【中野椋】