阪神佐藤輝明内野手(22)が、本塁打レジェンドの前で弾丸ヒットを奏でた。

西武や巨人、オリックスで通算525アーチをかけた清原和博氏(53)が伝統の一戦をテレビ解説。6点ビハインドの4回、強烈な安打を右前にはじき返した。新人最多本塁打は86年に西武清原がマークした31本で、あと11本に迫られた同氏も「確実に僕の記録は抜く」と称賛。佐藤輝も本塁打記録更新に意欲十分で、完敗試合で存在感を見せた。

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佐藤輝が球界の大先輩の前で快音を響かせた。6点ビハインドの4回。フルカウントから左腕メルセデスのスライダーをライナーで右前に運んだ。第1打席で今季116個目の三振に仕留められた変化球。今度は浮いた球を逃さなかった。

10打席無安打が続いていたが、テレビ解説に来た清原氏の前で「Hランプ」をともした。86年の31発は桑田武(大洋)と並ぶ新人最多タイで、いまだ破られていない。偉大な記録について佐藤輝はかつて「すごい方たちの記録を塗り替えることができるのはうれしいこと。しっかり自分のスイングをして積み重ねていければ」と語っていた。名刺代わりの1発はならなかったが、先輩も戦った「伝統の一戦」で躍動を届けた。

この日は1本出たが、7月は打率1割8分8厘。ボール球に手を出し三振する場面が目立つ。井上ヘッドコーチは言う。「三振しても『思い切りだけは消すなよ』と言い続けている。でもレギュラーとして出ている以上は、やらなきゃいけないことがいっぱいある。助け舟は出すけど、最終的にやるのはあいつ。そこをもう1回クリアしたら輝明だけに、今“暗明(くらあき)”になっているけど。輝く日が近いうちに来ると思います」。清原氏まであと11本。失敗と成功を繰り返し、輝く未来を目指す。【中野椋】