仁志敏久2軍監督の助言を生かした。DeNAの大卒3年目、伊藤裕季也内野手(24)が、またも後半戦の1軍入りを猛アピールした。3回に中前先制打を放つと、同点に追い付かれて迎えた5回には左翼へ勝ち越しソロ本塁打。4試合連続安打でチームの全打点を挙げた。

勝ち越しアーチは、技ありの1発だった。5回1死、内角低めのフォークをすくい上げた。「バロメーターかどうか分からないが、いいのはいい。感覚的に調子がいい悪いではなく、あの球を拾ったことに関しては、感覚の中で落ちる球を長く見られて、ついていけたのはよかった。ファームではできてなかった。ここにきて気持ちです」と振り返った。仁志2軍監督とともに「ボールを長く見ること」に取り組んできた成果を出した。

エキシビションマッチでは、ソフトバンク戦から開幕4戦連続安打をマークした。「結果が出たのが僕は一番うれしい。エキシビションマッチに合流して1試合1本しか出てなかったので、マルチ安打以上を残そうと思っていた。結果だけ見たら自分としてはよかったなと思います」と落ち着いた表情で話した。

大卒3年目の今季は、開幕から2軍暮らしが続いた。1軍では、ポジションがかぶるルーキー牧秀悟が台頭した。だが、例年とは違い、約1カ月のペナントレース中断期間が訪れた。「すごい大きなチャンスだと思っていた。きっかけにしようというか」。1軍戦参加に際し、仁志2軍監督から金言を授かった。「はりきって何かインパクトを残してこい」。これが心に響いた。4試合連続安打に、持ち味の長打力も発揮。三浦監督も「非常に生き生きとしているというか。エキシビションマッチでアピールの思いが伝わってくる。思い切りの良さが打席でも見えている」と高い評価を与えた。

エキシビションマッチは残り6試合。「他のファームの選手も呼んでいる。裕季也だけでなく、いろんな選手を見たいと。その中で裕季也がしっかりとアピールをし続けてくれている。(こうした選手が)出てくるのを望んだし、他の選手に与える影響もある」と三浦監督。前半戦はくすぶっていた右の長距離砲が、チームを活性化させている。【斎藤直樹】