スーパー19歳だ! オリックス先発の宮城大弥投手(19)が、両リーグ最速の10勝を達成した。後半開幕の敵地ロッテ戦で6回を2失点。10代での12球団最速2桁勝利は、1987年(昭62)の桑田真澄(巨人)以来34年ぶりの快挙だ。攻撃陣もラオウこと4番杉本裕太郎外野手(30)と、東京五輪帰りの3番吉田正尚外野手(28)の“青学先輩後輩コンビ”の1発競演などで6得点。首位オリックスが投打がっちりの快勝で、後半白星発進を決めた。

   ◇   ◇   ◇

雨にも、風にも、重圧にも負けず…。宮城が渾身(こんしん)のラストボールを投じた。4点リードの6回2死二塁。103球目にして、この日最速の148キロ直球を投げ切ると、勢い余って1回転。角中を空振り三振に仕留めると、珍しく左拳をグッと握った。

「(ピンチに)良い感じで力が入った。試合が始まる前に(中嶋)監督から『気負わず投げてこい』と言われたので、それを意識して投げました」

6回6安打2失点の粘投で10勝目。12球団最速の2桁白星は巨人桑田以来34年ぶりの快挙だ。だが小声になり「巨人の方ですよね? そんな方と一緒…うれしいです」と謙遜した。今月25日に20歳を迎える。「10代のうちに2桁勝利できたのは光栄です」と喜んだ。

創意工夫で白星を積み重ねる。ZOZOマリンでの初登板。「風を意識して、高めに浮くことは注意」と能見兼任コーチら先輩投手陣に、強風が有効になるカーブの活用など、貪欲に助言を求めた。ロジンも左尻のポケットにしのばせ、滑り止め対策も万全だった。

雨のマウンドに対応した。「4回が終わって履き替えた」。試合用スパイクを脱ぎ、5回以降は「練習用スパイク」を履いた。「自分の判断で。良い投球をするにはその点も必要だなと。(雨で)スパイクも重くなってきたので」。驚くのは、歯の位置や形状が違うことだ。「(試合用は)上に(歯が)3本、下2本とプラスチック部分(がある)。(練習用は)上3つ、下3つです。(土や水分の)重さが取れた方が良い。そういう性格なんで…」。雨水で重くなったスパイクより軽さを重視。19歳左腕はサラリとやってのける。

首位チームが後半白星発進を決め、貯金は9。中嶋監督は「2年目の投手が後半戦の開幕…。だいぶ緊張したと思う。その中でゲームをつくってくれて、いいスタートをできた」と大絶賛。背番号13が、25年ぶりの頂点を導く。【真柴健】

▼高卒2年目、19歳の宮城が両リーグトップで10勝に到達。オリックス投手の両リーグ10勝一番乗りは14年西以来8人、11度目。高卒1年目の99年松坂(西武)がパ・リーグ10勝一番乗りしたが、高卒2年目以内に両リーグ10勝一番乗りは87年桑田(巨人=2年目)以来6人目。10代で記録も6人目だ。高卒1年目が2人、2年目が4人いるが、2年目に記録した4人の1年目の勝利数は宅和(南海)26勝、鈴木啓(近鉄)10勝、桑田2勝、宮城1勝。高卒1年目に1勝以下の投手が、2年目に両リーグ10勝一番乗りは初めて。