阪神ジョー・ガンケル投手(29)が後半戦初登板で、約2カ月ぶりの7勝目を挙げた。7回途中6安打2失点(自責1)と好投し、久々のお立ち台。インタビュアーの「日本語で」というリクエストに、慣れた様子でマイクを近づけた。

「チカモト、ハンパナイッテ!」

まさかの受け答えに、近本もファンも大爆笑。頼もしい投球と親しみやすい人柄に誰もが笑顔になった。

初回をわずか6球で3者凡退。味方の失策もからんだ5回2死満塁のピンチでは、3番佐野を2球で二ゴロに仕留め力強くグラブをたたいた。「あそこで失点していたらゲームの状況も変わっていたと思う。なんとか乗り切ってゲームをしっかりキープできたかな」。一時帰国後は当初2軍戦で調整登板する予定だったが、連日の雨で流れ、約1カ月ぶりの“ぶっつけ”マウンド。そんな不安も忘れるほど、前半戦6勝1敗の安定感は健在だった。

日本で2年目を迎え、周囲も認める勤勉さでチームに溶け込んだ。来日したばかりの昨年3月。甲子園で全体練習も終わり、野手は全員引き揚げたはずなのに、室内練習場から「コツン、コツン」と聞こえてくる。ガンケルはたった1人でネットに向かい、黙々とバント練習を行っていたという。そのひたむきさも実り、この日は3回先頭の打席で中前打をマーク。「ラッキーなヒットだったよ」と振り返ったが、そこから一挙4得点が生まれた。

矢野監督は「期待以上の内容だったと思う。ローテーションが安定してくるというのはチームに安定感をもたらすんでね。安心できるような投球を見せてくれた」とねぎらった。そんな助っ人はどこまでもチーム思い。「他のチームが近いゲーム差で追ってきている時は難しいところ。そういう時こそ自分たちのプレーをしっかりできるように準備することが大切」。一丸の勝利の中心に、誰よりも真面目な右腕がいた。【磯綾乃】