土壇場で巨人の窮地を救ったのは、不振に苦しんでいた丸佳浩外野手(32)だった。1点差に迫って迎えた、9回2死一、二塁。DeNAの守護神三嶋の直球を強振すると、鋭い打球が右前へ。26打席ぶりの安打が値千金の同点打になった。「何とかしたいという気持ちだけで食らいついていきました」。執念で暗雲を振り払った。

4連敗中のチームも、もがいていた。捕手岸田が今季初先発、中田が4試合ぶり先発とスタメンを動かしたが初回に3失点。4回に岸田の適時打などで1点差まで迫ったがあと1本が出ず、8回に2点を奪われ敗戦ムードが色濃くなった。

3点を追う9回も2死三塁と追い込まれ、あと1死で3位転落に今季初の同一カード3連敗&5連敗の危機に陥った。そこから吉川と岡本和が連続適時打、中田が内野安打でつないで丸の同点打を演出。勝てはしなかったが、価値ある引き分けに持ち込んだ。原監督が「ああいう場面で3点取れたのは明日からにまたつなげるというところでしょう。(丸は)ナイスバッティング。3打席に1回くらいああいうバッティングをしてくれるとうれしいね」と笑顔で言えば、丸も「これで流れが変わったと思うので明日勝てるように頑張ります」。長いトンネルの先に、ようやく薄明かりが見えた。【浜本卓也】

▽巨人戸郷(5回3失点で勝敗つかず、自身6戦連続で白星なし)「初回に失点をして、その後も粘れなかったところです。チームに申し訳ないです」

▽巨人岸田(今季初スタメンで今季初安打初打点)「初スタメンのチャンスをいただけたので、どんな形でも何としてもチームに貢献したいという一心でした」