日本ハムが世紀の猛攻で快勝だ。ソフトバンク戦(札幌ドーム)は、初回から11得点を挙げるパ・リーグタイ記録の歴史的大爆発。1死満塁で飛び出した“満塁男”王柏融外野手(28)の先制2点適時二塁打が号砲となった。王は1イニング2二塁打を含む3適時打と、来日3年目で自己最多となる1試合5打点の活躍だった。

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たまっていた屈辱を、吐き出すように安打を重ねた。日本ハム打線が初回、今季やられっぱなしだったソフトバンク石川に牙をむいた。1死満塁で王柏融。外角高めの直球を、狙ったように左翼線へ流し打った。この先制2点適時打を呼び水に打線が爆発。高浜、西川、野村と適時打が続き、2死一、二塁で再び王柏融へ。「『ここで打ったらかっこいい』と思って、もう1度集中力を高めて打席に入った」と、今度は右翼線を破る2点適時二塁打で、歴史的猛攻を締めくくった。

台湾の「大王」が“満塁男”ぶりを発揮している。今季、満塁での打率は5割3分8厘、長打率は8割4分6厘で勝負強さを見せつけている。来日3年目で、通訳なしでも簡単な会話が可能なほど、日本語は上達した。新加入のR・ロドリゲスについては、日本語で「トモダチ。シンユウ」と、ニッコリ。9日の28歳の誕生日は、練習前のグラウンドでR・ロドリゲスがスペイン語で祝いの歌を歌ってくれた。控えめだった王にも、笑顔が増えてきた。

初回に11得点は、パ・リーグ最多タイ記録。前日10日の6回までソフトバンク戦は42イニング無得点だったが、この日は一転。打者15人を送り、栗山監督は「点がいっぱい入ると、逆にこの試合、絶対に取らないといけないので、怖くてしょうがない」と驚いた。しかも、通算2勝8敗と苦手にしていた右腕を攻略したのだから、意義深い。

今季初の3安打に、自己最多の1試合5打点を記録した台湾の英雄は「札幌ドームで活躍することが出来て良かった。(石川には)ちょっと慣れてきた部分もあるので、それが今日、爆発したのかな」。9試合ぶりにソフトバンクに土を付け、堂々と胸を張った。【中島宙恵】

◆日本ハムが初回に11得点。日本ハムのイニング11得点は、東映時代の66年8月20日東京戦の1回、12年8月21日オリックス戦の5回以来3度目の球団タイ記録。初回の11点以上は03年7月27日ダイエー以来18年ぶりで、パ・リーグでは史上3度目の最多タイとなった。この日の日本ハムは2回にも5得点。03年ダイエーが8月1日オリックス戦で初回7点、2回8点で15点したことがあったが、2回までに16点を挙げたのは今回の日本ハムが初めて。

▽日本ハム加藤(7回5失点で今季4勝目) 野手に助けられた試合です。ホームラン2本は悔いが残りますが、最低限7回まで投げられたのは良かったと思います。