快進撃はまだまだ止まらない。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が3回1死一塁で、今季98打点目となる37号2ランを放った。19年の36本塁打を上回り、同年の96打点とともに、シーズン自己最多記録を更新。19日に史上最年少で通算100号を達成し、102本目のアーチでキャリアハイも同時に塗り替えた。チームは若き主砲の一振りで逃げ切り、10年ぶりの10戦負けなし、3年ぶりの7連勝を飾った。

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振り切った瞬間、村上は見上げた。3回、カウント1-2から高めの145キロ直球をフルスイング。高々と上がった打球は、そのまま左翼席中段へと突き刺さった。激しい優勝争いの真っただ中、表情を崩さずダイヤモンドを回った。「外の球でしたが力負けせず、しっかりと押し込むことができました」と淡々と振り返った。優勝チームの4番となるため、バットで貢献した。2位阪神に0・5差と、半歩前に出た。

自己最多を更新し、成長を続ける21歳。九州学院(熊本)時代の恩師・坂井宏安前監督(64)は「下半身の使い方が良くなった」と分析する。その要因は守備にある。6回1死一、三塁、ビシエドが放った打球が三塁手村上の前に転がった。正面のゴロを捕球し、滑らかな動きで二塁へ転送。併殺打に仕留めた。その何げないプレーに、進化が凝縮されている。

今ではホットコーナーを守るが、中学、高校時代は捕手。プロ入り後、一から守備を学んだ。ルーキー時代から課題で、失策は1年目の18年は3試合で1個、19年は141試合で15個、20年は120試合で14個を重ねた。一方、今季は115試合で8失策。練習の成果が数字に表れる。守備上達までの過程が、打撃への好反応を呼ぶ。坂井前監督は「打つだけではやっていけない。野球はバットだけじゃない。走攻守すべてが必要」と説く。

ボールを捕って投げる、体重移動、股割り-。野球において、すべての動作はつながっており、必要な力はプレーで培われる。守備力が大幅に改善された教え子の打撃を見て、坂井前監督は「下半身が柔らかくなってきた」と目を細める。その下半身が粘りを生み、持ち前のパワーを最大限に発揮する。9月12日中日戦での通算98号以来となる逆方向への1発も、高い弾道でスタンドへ押し込んだ。シーズン40本塁打と、100打点に到達すれば、ともに最年少記録。華麗な守備が、次々と球史を塗り替えんばかりの打撃を支えている。【湯本勝大】

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