天敵を打ち崩した。楽天島内宏明外野手(31)が24日、オリックス20回戦(京セラドーム大阪)で好投手の宮城から2本の適時打を放ち、勝利に貢献した。

試合前時点で通算1安打と苦しめられていた左腕から2打点を挙げ、リーグトップを独走する87打点を記録。頼れるクラッチヒッターがきっちりと期待に応え、2位オリックスとのゲーム差を1・5に縮めた。

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前日の白木と異なる赤茶色のバットをたった3振りで、20歳の顔を2度ゆがませた。1回2死二塁。島内は3ボールから宮城の真っすぐを2度見逃した。フルカウントからの6球目。この日最初のスイングで外角カーブにタイミングを合わせた。中前へ落とし、宮城に口をすぼませた。

4回の第2打席は1スイングのみで四球。第3打席は初球をたたいた。2点リードの5回2死二塁。真ん中高めに甘くきたスライダーを捉え、一塁線を破る適時二塁打で貴重な追加点を奪った。今度は宮城に眉間のしわを寄せさせた。

左腕に苦しんでいた。昨季は未対戦で、今季は過去3試合で9度対戦し、7打数1安打。「いろんな方にご指導いただいて打つことができました」と、いずれも変化球を捉えた。得点圏打率はリーグ3位の3割4分7厘で、ロッテ・レアードを8打点上回るリーグトップの87打点。圧倒的な勝負強さで、難敵も崩した。

石井GM兼監督も舌を巻く。「宮城くんを最初に攻略して、得点を追い上げられても大丈夫な展開にできた」と主導権を握った島内の一打を振り返り「(1番)山崎(剛)、(2番鈴木)大地がメークして、その後はお願いします、ということなので、今日もお願いされました、と打ってくれたので良かったです」と、4番の働きを称賛した。

チーム一丸で3連戦初戦を奪い、2位オリックスとのゲーム差を1・5に縮めた。このカードを3連勝すれば2位浮上となるが、島内は「知りませんでした。逆に知らない方がいい時もあるので」と無心で白球に食らいつく。目の前の勝利だけを目指して、バットを振り続ける。【桑原幹久】