エンゼルス大谷翔平(27)が、メジャー4年目のシーズンを終えた。投打二刀流として、世界最高峰のリーグで大旋風を起こし、投打とも超一流のパフォーマンスを発揮した今季。プロ入り当初から二刀流を後押しし、渡米後も温かく見守った日本ハム栗山英樹監督(60)が、「教え子」の1年を総括した。【聞き手=中島宙恵】

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-「二刀流」飛躍になった1年。印象にあるのは

いっぱい、あるな~。感動したっていうより、ホッとする? たとえば、投手と打者で出たオールスター。「翔平、そうだよな。誰も歩いたことのない道を歩くって言ったよな」と。

-日本ハム時代、大谷に対して「他人と比較されているうちはダメ」と繰り返し説いた。そういう選手になってきた

まだでしょ。まだ、ベーブ・ルースと比較されているからね。まだ、いける。まだまだ。比較されないっていうのも大事だし、これからどんな新しいことを見せてくれるんだと。それを彼は、すごく面白がっているはず。野球のために自分のために、何をするのか。

-二刀流の危機を感じたことは

一瞬もなかったね。怒ったことは1回あったけど。入団3年目かな、打者の成績が全然上がらなくて。投手の方が下手だから、練習への意識がそちらに重きを置いていた。得意の打つ方も、ちゃんとやらないとダメという意味で叱った。不思議なんだけど(無理だと思ったことは)1回もなかった。

-大谷の人間性がそうさせた

人柄や取り組み方も、もちろんあるけど、こちらを不安にさせないものが練習を見ているとあった。もちろん、順調じゃないことも、山ほどあった。でも、そのたびに翔平は、試合でもベンチでも、周りでサポートする人たちに夢を見させることができた。それが、彼の持っている「徳性」。真っすぐに野球のことだけ考えて生きている選手は、皆が応援したくなるじゃない? 彼の最大の魅力は、そこなのかも。

-今季、日米通じて初めて規定打席に到達

そこだよね。日本で、経験できなかったこと、やらせられなかったことなので。(試合に出続けるかどうかは)本人が決めていると思う。本人に任せたという部分では、球団は大きな決断をした。あの試合数を出たということは、本当にアッパレだと思うし、本人がやりたいように出来たのが一番大きい。エンゼルスに入団を決めた時も「お前が自分で決めたことは、そんなに間違わない。野球の神様は絶対に変なことはしないから」と。

-大谷の背後には野球の神様が見える

見える、見えるんだ。これは、あり得ないくらい見える。

-褒めない栗山監督から「アッパレ」が出た

アッパレは、あげてないですよ。だんだん文句を言う人が少なくなっていくので、絶対に言い続けてやる(笑い)。そんなこと、したくないけど。(人にはそれぞれ)役割があるよ。試合数について「よく、ここまできたな」とは思うけど。それで良かったかどうかは、本人が考えないと。普通に考えたら素晴らしいこと、というだけ。引退する時に翔平が「(野球人生は)本当に最高でした」って言ったら「アッパレ」なんだよ。まだまだ、今、答えを出しちゃいけない。アッパレなんて、あげないさ。