新潟医療福祉大の左腕、桐敷拓馬投手(4年=埼玉・本庄東)は阪神から3位指名された。創部9年目の同大からの指名は中日・笠原祥太郎投手(26=16年4位)、オリックス漆原大晟投手(25=18年育成1位)に続き3人目。3巡目の指名は同大の過去最高順位で「こんな自分を指名していただいて、ありがとうございました」。最速150キロ左腕の好きな言葉は「謙虚」。まさに控えめなあいさつだった。

硬式野球部のブレザーに身を包んでいた桐敷の両目は笑っていなかった。「これからは実力がモノをいう厳しい世界。結果にこだわってチームを勝たせる投手になりたい」と浮ついていなかった。ドラフト指名は「ゴールではなく、通過点」と言う。「桐敷なら大丈夫、桐敷ならやってくれる、というような投手になりたい」と甲子園で投げる姿をイメージした。

「真っすぐと変化球のコンビネーション。コントロール重視」という桐敷は、力を抜いた「8割投法」が持ち味。それでも三振の山を作ってきた。2年秋の関甲新学生リーグ戦、平成国際大戦で延長10回参考ながらリーグタイ記録の18奪三振。今春リーグ戦は55回1/3を投げ71三振(5勝1敗、防御率1・79)だった。2日開幕の秋季リーグは2試合1勝1敗ながら、14回で18三振(防御率1・93)を奪う。鵜沢亮一監督(41)は「プロで通用してほしい」と言った。

「小さいころから」憧れていた投手は現ソフトバンク監督・工藤公康氏。「体全体を使ってダイナミックに投げる。理想的な投げ方」と言う。阪神なら現役引退した藤川球児投手(41)で、ズバリ「ストレート」。同じ大学生左腕の隅田知一郎投手(西日本工大4年=波佐見)が1巡目で4球団が競合した。桐敷は「複雑と言うか、少し悔しい」。その思いがプロでの原動力になる。