剛速球右腕の三菱自動車倉敷オーシャンズ・広畑敦也投手(23)は、ロッテに3位で指名された。1位指名の可能性も期待されていただけに「お集まりいただいたみなさま、本当にお待たせしてすみません」と第一声。続けて「率直にうれしい。自分が目標にしていた世界に入れるので、夢をかなえられてうれしいです」と喜んだ。

ダイナミックなフォームから繰り出すスピンの効いた最速154キロの直球に、緩いカーブ、スライダー、フォークを操る即戦力右腕だ。玉野光南(岡山)、帝京大を経て、社会人野球では技術に加え、メンタル面を磨いてきた。先発、リリーフともに経験豊富な右腕は「打たせて取るということを一番大事にしている。三振をバンバン取る投手ではない。打者(の特徴)を見て、打ち取る投球をプロの世界でも出していきたい」と力を込めた。

本拠地名物の「強風」を味方につけるつもりだ。ZOZOマリンについて「風が強い。野球ゲームでも10メートルくらい風が吹いている。自分は本塁打を打たれやすいので、風に乗って入らないように、ずっと『逆風』で野球ができればいいかなと思います」とニヤリ。井口監督の印象にも「野球ゲームでもすごくミートが大きかった」とユーモアを挟みつつ、「現役時代も素晴らしいバッターだった。選手に対してすごい熱い思いを持たれている印象です」と真面目に締めた。

名前の「敦也」は、熱狂的なヤクルトファンの父佳臣さん(48)の影響で、OB古田敦也氏が由来だ。母校・玉野光南の先輩でもある父について「野球が好きな父に名前をつけてもらった。父の姿を見て、野球が楽しいと思ってやらせてもらった。父と母の支えがなかったら野球ができなかった」と感謝を口にした。

「地元に恩返しがしたい」と、故郷・倉敷市に拠点を置くチームを選んだ。1年目から奮起し、チームを2年連続の都市対抗出場に導いた。プロ入りの権利もつかみ「半分くらいは恩返しできたと思う」。11月末から始まる都市対抗へ向け「地元にもう1個お土産を残していかないといけない。優勝を目指して、恩返しをしていきたい」と活躍を誓った。地元への感謝を胸に全力を尽くし、プロの舞台へと旅立つ。【古財稜明】