巨人亀井善行外野手(39)が今季限りで現役を引退することが分かった。今日21日にも球団から正式発表される。上宮太子高から中大を経て、04年ドラフト4位で巨人入り。今季でプロ17年目のベテランがバットを置く。喜怒哀楽を隠さず、素を貫く、コテコテの野球人だった。印象的なシーンを当時の記事で振り返る。

【悔しい史上最遅100号メモリアル弾(21年6月5日、日本ハム戦=東京ドーム)】

節目の1発を決めた男の顔ではなかった。4点を追う9回、巨人亀井が日本ハム杉浦のスライダーを捉えた。待ちに待ったプロ通算100号本塁打にも、リードを許す状況に厳しい表情は崩さなかった。メモリアル弾を契機に猛攻を見せたが、時すでに遅し。4-6で敗れ、笑顔なくロッカー室へ消えた。

プロ17年目での到達は大卒では史上最遅、38歳10カ月は歴代年長4位タイ。ここまで5455日。じっくり歩んできた。

開幕戦でサヨナラ本塁打を放ったが、以降は快音が思うように響かない。そんな中、2日、3日の昼間は千葉・鎌ケ谷でのイースタン・リーグ日本ハム戦に出場。夜は東京ドームで西武戦とベテランでは異例の“親子ゲーム”を志願した。4月20日以来のスタメン出場で最後まで集中力を高められていたのは、積み重ねてきた鍛錬のたまものだった。

原監督は「(親子ゲーム出場志願は)あらゆるアスリートのお手本になるケースだと思いますね。200号目指して頑張るでしょう」。亀井は「節目という点では時間はかかりましたが打つことができて良かった。これをきっかけにチームに貢献できるように、打撃の状態を上げていきたいです」とコメントした。

焦らず、じっくり、丁寧に。これからもカメのように野球道を歩んでいく。

▼通算100本塁打=亀井(巨人) プロ野球302人目。初本塁打は06年6月29日の横浜9回戦(横浜)で山口から。